経営の健全性・効率性について
令和元年度から地方公営企業法の一部適用(財務規定等)を開始し、2年になりました。経常収支比率は、令和元年度よりは低下したものの100%を超えており、単年度の収支は黒字となります。累積欠損金は、ありません。流動比率は、過去に借り入れた企業債の償還金が高額となっているため、低い状況となっていますが、令和元年度と比較すると改善されています。企業債残高対事業規模比率は、類似団体の平均値よりも高い状況となっています。汚水処理原価は令和元年度よりは低下したものの類似団体の平均値よりは高い水準、経費回収率及び施設利用率は類似団体の平均値より低い水準、水洗化率は類似団体の平均値並みです。これは、本市が昭和30年頃からの急速な人口増加による河川の水質汚濁等を契機に、早期の公共下水道の普及を目指し整備を行ってきたこと、また、地形的制約などにより、下水道終末処理場2箇所、汚水中継ポンプ場7箇所及び汚水低地排水ポンプ施設57箇所を有していることが要因となっています。下水道使用料は、平成19年度に19.9%、平成24年度に10.0%と段階的な使用料改定をしました。その後は改定をしませんでしたが、下水道事業運営審議会から使用料改定について答申を受けたことから、今後は適正化に向けた取組みを行います。水洗化率については、戸別訪問による啓発活動や多角的な広報活動により、積極的に普及促進を行っており、さらなる水洗化率の向上を図っています。
老朽化の状況について
本市の汚水管渠は、昭和33年度から工事着手しており、老朽化が進んでいることから、施設の老朽化対策を行ってきました。しかし管渠老朽化率は、類似団体平均値及び全国平均値と比較して高くなっており、さらに令和元年度と比べても高くなりました。管渠老朽化率が高く、管渠改善率が低いのは、老朽化した管渠の更新が進んでいないと考えられることから、今後計画的な改築及び改良を進める必要があります。現在は、平成31年3月に策定した鎌倉市下水道ストックマネジメント計画に基づき、老朽化したマンホール蓋の更新を行っています。今後、管渠についても緊急輸送路等の改築工事を行っていきます。
全体総括
経常収支比率は黒字となってはいるものの、経費回収率が低いことから、下水道使用料に基づく健全な経営は厳しい状況にあると言えます。また、管渠の老朽化率も今後増えることが予想されています。今後は、令和3年3月に策定した公共下水道経営戦略に基づき経営状況を的確に把握するとともに、経営の健全化に努めていきます。下水道使用料については、本市の地域特性を踏まえ、国が示す目安等も考慮し適正化を図ります。下水道施設全般については、既に策定している「社会基盤施設マネジメント計画」や「鎌倉市下水道ストックマネジメント計画」に基づき「予防保全型管理」を行うことにより、更新費用の圧縮と平準化を目指します。また、各施設ごとの改築計画は、現在マンホール蓋の更新計画のみですが、今後は管渠、ポンプ場、処理場についても改築計画を策定して、老朽化対策等に取り組んでいきます。