経営の健全性・効率性について
令和2年5月に使用料改定を行ったことにより、令和2年度から経常収支比率・経費回収率共に100%を上回り単年度収支が黒字化した。令和3年度は前年度より経常収支比率・経費回収率が減少しているが、これは令和3年度から水道事業会計に対し負担金を支出しているためである。累積欠損金比率も使用料改定により年々減少している。流動比率は100%を下回っており、依然として類似団体と比較しても厳しい経営状態が続いているが、年々改善傾向が見られる。企業債残高対事業規模比率は、使用料改定に伴い使用料収入が増加したため、令和2年度から減少し続けている。汚水処理原価は類似団体に比べ低いことから、効率性は良好であると言える。施設利用率は平成30年度までは流域下水道の処理水量を含んだ値を計上していたが、令和元年度より流域下水道を除いた値とした結果、類似団体平均並みの数値となった。水洗化率は類似団体に比べ高く、普及率も90%を越えている。昭和26年より事業を開始し、順次整備を進めてきた成果である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は年々増加しており、資産の老朽が進んでいると言える。なお、類似団体に比べ数値が低いが、これは、平成26年度に法適化した際に残存価額を帳簿原価として計上したためである。管渠老朽化率は耐用年数を経過した管渠が増加し、更新も進んでいないため高くなった。今後、昭和50年代以降、特に平成元年前後に集中的に整備された管渠の更新時期を迎えることになる。管渠改善率は令和3年度は管渠改築工事の減により減少し、管渠老朽化率は類似団体より高いため、管路の更新が進んでおらず、現状のままでは今後急激に進む老朽化に対応することは困難である。今後計画的に事業を進める必要がある。
全体総括
令和2年5月より使用料改定を行ったため、使用料収入の増により経営状態は改善された。老朽化対策については、今後急激に進むと想定される施設・管路の老朽化に対応するための事業計画の策定とその実行が必要となる。