経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び経費回収率は、いずれも2年連続で減少しており、経常収支比率は112.67%と、前年度比で5.17ポイントの減少、経費回収率は92.31%と、前年度比で1.93ポイントの減少となりました。経常収支比率は減少傾向にあるものの、100%を大幅に超え、また類似団体平均も上回っており、公共下水道事業としての単年度収支は、健全性を維持しています。しかし、施設の更新需要が今後増大することを踏まえると、十分な補填財源を確保する必要があり、引き続き同程度の水準を維持しなければなりません。一方、汚水処理費に占める使用料収入の割合を示す経費回収率は、本年度も100%を下回り、過去5年間一度も100%を超えていません。これは、汚水処理費を本来賄うべき使用料収入で賄いきれず、その他の収入を財源にしていることを示しています。人口減少などにより下水道使用料は更に減少傾向にあることからも、継続的な経営の健全性確保のため、使用料改定によって増収を図り、また更なる効率的な汚水処理を図ることで、汚水処理費の低廉化に努め、経費回収率の向上を目指します。次に、企業債残高対事業規模比率は559.14%と、前年度比で21.26ポイントの減少となり、2年連続で減少し、類似団体平均よりも低い水準で推移しています。これから施設の大量更新が本格化することから、企業債の借入に当たっては、将来世代に過度な負担を残さないために、プライマリーバランスの黒字維持に努め、経営の健全性維持に努めます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、増加傾向にあるものの、類似団体と比較して施設の老朽化の度合いは低い状態にあります。しかし、終末処理場等の施設は、既に更新を実施しており、今後ますます更新需要が高まることが想定されます。また、管渠老朽化率は0%のままですが、高度経済成長期以降に短期間に集中して整備した公共下水道事業は、今後、法定耐用年数を超える施設が発生し始めるとともに、急速に老朽化が進むものと考えられます。このため、事業量を平準化し、計画的な更新を進めるとともに、予防保全型管理による施設の機能維持に努める必要があります。
全体総括
人口減少などによる水需要の低下に伴い、下水道使用料収入は減少していく中で、高度経済成長期以降に整備した施設の更新需要に対応しなければならず、今後も厳しい経営環境が続くことが想定されます。そのような状況下における上下水道事業経営のあるべき姿と、具体的な行動を示す「はだの上下水道ビジョン」を令和3年3月に策定し、事業を展開しています。今後も、このビジョンに基づき直面する課題に着実に対応し、健全経営の持続に努めていきます。