経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率の指標は、平成22・24・25年度を除き、100%に近い数値となっている。これらの年度の数値が低いのは、公的資金補償金免除繰上償還により元金償還金が増額となったためであり、この分を除くと96%を超える。④企業債残高対事業規模比率が類似団体より低くなっているのは、面整備がほぼ完了し、地方債の発行が減少しているためである。平成26年度末の起債残高は、ピーク時の平成12年度末と比較し55%にまで減少している。⑤経費回収率は98%以上となり類似団体と比較し高くなっている。しかし、元利償還金への基準内繰入を除いて算定すると約50%と半分になってしまい、構成市に依存する形となっている。⑥汚水処理原価は類似団体より低くなっているが、元利償還金への基準内繰入を除くと高くなってしまう。特に東日本大震災以降、有収水量が減少した一方、不明水が増加し、また、電気料金や管渠内及び舗装補修工事等の維持管理費が増加してしまった。⑦施設利用率は、平均値よりやや下回る状態であるが、これは、認可計画時に見込んだ工場等の排水が入らないことや、節水器具の普及、人口減少等によると考えられる。普及率が90%(日立市北部及び高萩市)を超えている状況では、大量の水を利用する大規模工場等が出来ない限り、上げることは困難と思われる。⑧水洗化率については、90%を超えており類似団体と比較して高いが、100%となるよう個別訪問等による指導を行う必要がある。
老朽化の状況について
管渠改善率が0%となっているのは、面整備が昭和55年から始まり、耐用年数の50年を経過している管渠がまだないことや、年次計画により管渠内のテレビカメラ調査を行い、その結果をもとに維持補修等を行っていることで管渠の延命が図られているためである。しかしながら、15年後には、最初に布設した管渠が耐用年数を迎え、その後は普及率向上のため、短期間で面整備を行ったために、毎年膨大な延長の管渠が耐用年数を迎える。そのため、引き続き計画的にテレビカメラ調査及び補修を行い延命化を図っていく。また、年次計画により、管渠の耐震化を進め、地震に強い管渠にしていく予定である。
全体総括
現状は、施設利用率が低いのを除き、経費回収率や汚水処理原価等は平均より良い数値となっているが、これは、両市からの基準内繰入により良くなっているに過ぎない。今後、元利償還金の減少に伴い、基準内繰入を除いた経費回収率は、現在の約50%から徐々に良くなっていく見込であるが、現在の料金体系及び維持管理費の水準では、100%とはならない。平成28年度には企業会計に移行し、経営状態がより明確にわかることから、更に適正な維持管理や有収水量の確保等に努める必要がある。しかし、面整備がほぼ完了したため、人口減少や工場排水の減少等による有収水量の減少は避けられない。また、設備及び管渠の老朽化により、維持補修費が今後上昇傾向となることが見込まれることから、設備の改築時に省エネタイプの導入や統廃合、委託業務の拡大等を行い、維持管理費を削減する必要がある。