経営の健全性・効率性について
・「①収益的収支比率」、「④企業債残高対事業規模比率」において、いずれも平成24年度に変動が見られるがこれについては、震災の影響による経常収益である給水収益の減が要因であり、それ以降については概ね順調な推移を図っている。・「⑤経費回収率」では、各年度とも経費回収率がほぼ100%で推移しているが、維持管理費と併せ設備の耐用年数や損耗等の増嵩も今後想定されることから適切な施設管理とともに機能診断・修繕等を実施し、汚水処理費の軽減を図る必要がある。・「⑥汚水処理原価」では類似団体平均値に対し、低い原価率となっており、現時点での負担は低いと思われるが、長寿命化対策を図るとともに不明水を解消し負担軽減を図る必要がある。・「⑦施設利用率」では、類似団体平均値に比べ若干低い数値となっているが、供用開始が浅く、普及率22.58%と低いことから現下水道計画を踏まえた施設使用率に対する処理水量を得られていない状況にある。よって引き続き事業区域の整備拡大を推進し、供用開始となった区域の接続率向上を推進することが必要。・「⑧水洗化率」では類似団体平均を上回っており、上昇推移しているものの、市街部を離れた地域などでは水洗化率が低調な区域もあり、これについては前述の「⑤経費回収率」、「⑦施設利用率」の重要な要件となる使用水量(水道使用料)に密接に関連していくことから、これらを充分に踏まえ、事業整備を行うとともに接続率の向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
・「③管渠改善率」については類似団体と比較し、平成24年度のみ顕著となっているがこれについては東日本大震災の影響により破損した管渠の復旧事業によるものである。・それ以外の年度及び「①有形固定資産原価償却率」、「②管渠老朽化率」に対する考察として、該当数値での状況が当町の下水道事業は平成16年度に供用が開始され以後12年が経過しているが、管渠及び施設躯体における耐用年数は50年を目途としているため、管渠の更新・改良の時期に至っていないことが考えられる。但しマンホールポンプ施設や終末処理場施設の各種設備は損耗や耐用年数を迎えているものもあり、維持管理に伴う修繕・改修等は汚水処理費などに著しく影響を受けることから、管渠も含め適切な機能診断を行っていくとともに長寿命化計画を策定していく必要がある。
全体総括
類似団体と比較し、「⑦施設利用率」において施設利用率が若干低いことから、現在区域拡大を実施中ではあるものの、より効率的な状況へ改善すべく、接続率等について対策を講じる必要がある。「④企業債残高対事業規模比率」、「⑤経費回収率」、「⑥汚水処理原価」においては概ね良好な水準を推移しているが、これらについては引き続き汚水処理費にかかる各種処理場費の軽減を図るとともに、安定的な使用水量(下水道使用料)の確保が必要である。また老朽化の状況についても事業開始からの経年が浅いことから、現時点での更新投資やその対策の必要性は無いが、当町の地勢や人口分布等を踏まえ、かつ長期的な見地に立ち投資的経費となる管渠整備について効果的な整備を行い、併せて適切な施設・設備への維持管理計画を策定し、持続性の高い経営を構築・推進していくことが肝要となる。