経営の健全性について
本市においては、運送収益が前年度と比較して8.9%減少したことから、経常収支比率(表①)、営業収支比率(表②)ともに前年度と比較して悪化しており、営業収益で営業費用を賄えていない状況にある。このような状況を踏まえ、毎年度、一般会計から多額の補助金を繰り入れしている状況にあり、利用者1回当たり他会計負担額(表⑤)、利用者1回当たり運行経費(表⑥)ともに、公営企業平均値を上回っており、他会計負担比率(表⑦)については、公営企業平均値を下回ったものの、一定の一般会計からの補助金に支えられている状況にある。また、近年、車両の老朽化に伴い継続して車両更新を行っており、企業債残高料金収入比率(表⑧)が増加傾向にあることなどから、今後も厳しい経営環境が続くものと見込まれる。
経営の効率性について
本市の走行キロ当たりの収入(表①)は、運送収益の減少などにより、前年度と比較して悪化している。また、走行キロ当たりの運送原価(表②)は、燃料単価上昇などにより費用が増となったものの、社会実験運行の実施により実車走行キロも増加したことから、前年度と比較して改善したが、民間事業者と比較すると2倍以上となっており、より一層の運行経費の抑制が課題となっている。走行キロ当たりの人件費(表③)についても改善はしているものの、人件費が民間事業者と比較して多額となっていることから、人件費をはじめとする運行経費の抑制に向け、民間活力の活用を推進していく必要がある。乗車効率(表④)は、前年度と比較して悪化し、公営企業平均値も下回っていることから、多様な利用者ニーズの把握に努めながら、より利便性が高く効率的なバス運行を行うため、運行ダイヤの見直しを進めていく必要がある。
全体総括
本市の自動車運送事業は、①人件費が高く、②一般会計からの繰入金への依存度が高い状況である。これらの課題解決に向けて、民間活力の活用を推進するなど運行の効率化や人件費の抑制など経費削減に取り組むとともに、利用者ニーズに沿った運行ダイヤの見直しを行う必要がある。このことから、平成30年2月に「青森市交通事業経営改善計画~チャレンジプラン2017~」を策定し、今、できるところは速やかに取り組むとともに、市民の足としてのバス交通を将来にわたっても維持していくための新たな取組を進めており、これらの取組の結果を踏まえ、令和2年度中に経営戦略し経営健全化へ取り組んでいくこととしている。