経営の健全性・効率性について
○健全度について経常収支比率が100%未満であり、全国平均及び類似団体平均値よりも下回っているため、健全度は悪いと考える。これは、個排使用料を公共下水道使用料と同額で設定していることが要因の一つであり、公共下水道処理区域境界部(公共利用者と個排利用者とが隣接する地域)等における市民の公平感を維持する必要性を重視した結果である。会計上は公共下水道を含む下水道事業会計(経常収支比率109%)のうち1%程度の支出構成比となるため、下水道事業会計全体的な経営への影響は少ないが公共下水道使用料の改定時に際しては個排使用料の適正な料金設定について整理する必要があると考える。○効率性について施設利用率として処理能力に対する有収水量の割合を算定すると49%程度となり、全国平均及び類似団体平均と同程度の低値である。これは個別排水処理施設が各世帯ごとの個別に設置されるために家族構成の変動を当初から見込むことができないことが反映されていると考える。※⑤経費回収率と⑥汚水処理原価で全国平均及び類似団体平均と差異が大きいが、これは繰出基準を考慮し維持管理費を高度処理費として経費分類していることが要因であり、実質的な経費回収率及び汚水処理原価(公費負担を除く維持管理費の合計を汚水処理費として計上)はそれぞれ56.84%、197.94円と算定される。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が比較的低く、老朽化が未だ進んでいない状況である。維持管理を適切に行い、長寿命化を図ることが重要であると考える。
全体総括
公共下水道を補完する形で整備が進められる個別排水処理施設は、下水道事業会計全体に与える影響は小さいものの経営の健全性及び効率性に課題を残しているため、市民が納得できるような形での維持・改善を図りたいと考える。また、個別排水処理施設整備事業についても公共下水道事業と合わせて経営戦略を策定し、健全な事業運営を図る必要があると考える。