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地方財政ダッシュボード

熊本県人吉市の財政状況(2019年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

ここ数年はほぼ横ばいで推移しており、類似団体と比較しても同程度である。基準財政収入額においては、固定資産税の家屋や償却資産の増や森林環境譲与税の新設により増となった。基準財政需要額においては、保育園から認定こども園の移行や障がい者へのサービスといった社会保障費の増により全体的に増となり、今後も少子高齢化による地方税の減少と社会保障費の増加が続くものと思われる。財政力指数の改善のために、「人吉市行財政健全化計画」に基づきふるさと納税等による歳入の確保と事業の見直しや等による歳出の抑制を図り、更なる効率化が必要である。

経常収支比率の分析欄

類似団体を5.2ポイント上回っており、全国ならびに熊本県平均と比較しても硬直的な財政運営となっている。要因としては、歳出において義務的経費である扶助費(特に児童福祉費、老人福祉費、心身障害者福祉費)、補助費(一部事務組合負担金)が類似団体の平均と比較して大きく、逆に投資的経費が小さいことが挙げられる。令和元年度決算において、地方消費税交付金や自動車取得税交付金が歳入減となったものの家屋や償却資産といった固定資産税が増になった。一方で歳出は、人件費において人事院勧告による給与費等の増や退職者数の増、また扶助費においては保育所等運営費負担金や障がい者(児)へのサービスの増が大きく1.1ポイントの増となった。今後は、新市庁舎建設事業や会計年度任用職員への期末手当支給など一般財源の確保が重要な課題となる。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

前年度と比較すると増加しているが、類似団体の平均値を下回る水準で推移している。今後も、「人吉市行財政健全化計画」及び「第4次定員適正化計画」により経費の削減や人員の削減に積極的に取り組み、引き続き適正な運営に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

令和2年度から令和4年度に取り組む「人吉市行財政健全化計画」に基づき、職員給3%~7%、管理職手当10%をそれぞれ削減したことにより、前年比4.5ポイントの大きな減となった。今後も国等の動向や民間企業等の状況を踏まえながら、適正な運営に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

前年度と比較すると0.04ポイントの微増であったものの、類似団体と比較すると0.53ポイント下回っている。しかし「第3次定員適正化計画」(平成24年度~平成31年度)に基づき実施してきたが、熊本地震以降の事業量の増加や想定外の退職者の増加などの要因があり、最終目標値の320人に21人及ばなかった。今後は「第4次定員適正化計画」(令和2年度~令和9年度)において、組織機構や人員配置の見直し、業務の改善と見直し(スクラップ&ビルドの徹底)、アウトソーシングの推進(指定管理者の導入、民間への業務委託)に取り組み、最終目標値を300人とした。

実質公債費比率の分析欄

類似団体を3.8ポイント下回っており、前年度と比較しても0.7ポイント低下していることから、健全な状態にあるといえる。しかし今後は市庁舎建設事業による地方債の増加が見込まれ、また老朽化した公共施設等の更新も進めていく必要があるため、計画的な公債費の管理を行い、償還額の平準化に努めていく必要がある。

将来負担比率の分析欄

平成24年度以降は40%以下で推移してきたが、前年度に7ポイント増加し、さらに令和元年度は17.8ポイント増加した。要因としては、庁舎建設にかかる起債借入が大きく増加したことで、地方債残高が増加した。一方で、財源不足を補うために財政調整基金や減債基金をそれぞれ取り崩したことにより充当可能財源が減少したため比率の上昇となった。今後は、市庁舎建設事業により地方債の発行が増加することが見込まれるが、交付税措置のある有利な地方債の活用、計画的な地方債の管理に努め、「人吉市行財政健全化計画」に基づき、財政健全化に取り組んでいく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

類似団体の平均値を上回る水準で推移している。定員適正化計画を進めているが、早期退職者の増や任期付き職員及び再任用職員の採用等により増加となった。今後は、第4次定員適正化計画に基づき人件費の適正な管理に努める。

物件費の分析欄

類似団体と比較して低い水準で推移している。今後もこの水準を維持し、さらなる事務事業の効率化を図る必要がある。

扶助費の分析欄

類似団体と比較して高い水準で推移している。要因として、特に児童福祉費が高い状況にある。保育料の軽減や各種手当などのサービスを行い子育てをしやすい環境整備に努めているが、財政状況を圧迫する要因の一つとなっている。また、近年は障害者自立支援給付費などの心身障害者福祉費の伸びにより、社会福祉費が著しく増加している。今後は単独事業の見直しなど財政健全化と持続可能な社会保障制度に則した適切な施策を展開する必要がある。

その他の分析欄

類似団体と比較してほぼ同水準で推移している。国民健康保険特別会計繰出金において出産育児一時金や財政基盤安定化支援繰出金が減となったこと、また、後期高齢者医療特別会計繰出金についても療養給付費の伸びが鈍化したことにより減となったことが要因である。高齢化社会による医療費・介護給付費の伸びは引き続き深刻な課題であり、医療費・介護給付費抑制のための検診や予防事業に重点を置く必要がある。

補助費等の分析欄

類似団体と比較して高い水準で推移している。要因として、ごみ処理施設の建設や汚泥再生処理センターの建設に伴う地方債償還について、構成自治体負担分のほか交付税参入分を本市が負担しており、一部事務組合負担金の負担割合が大きいことが挙げられる。今後は施設の更新や改修といった課題もあり、補助費等においても高止まりの見込みである。引き続き維持管理経費のコスト削減に向けて改善に努める必要がある。

公債費の分析欄

類似団体と比較して低い水準で推移している。今後は、新市庁舎建設事業が進む中で、公共施設総合管理計画及び個別施設計画に基づき、老朽化した公共施設や設備などの改修を進めていく必要があるため、地方債発行を適切に管理し、償還額の平準化に努める必要がある。

公債費以外の分析欄

類似団体と比較して非常に高い値で推移している。要因となっているのは扶助費及び補助費等であり、今後も大幅な改善は非常に難しい状況にある。公債費については、償還額の平準化に努めながら計画的に進め、財政の硬直化を食い止める必要がある。今後も事業見直しによる歳出の削減と歳入確保に取り組み、比率の改善を進めていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体と比較して平均値を上回っているのは、総務費、民生費、商工費である。総務費は市庁舎建設事業に伴う増、商工費については地方創生拠点整備交付金を活用した事業に伴う増である。また民生費については、高い水準で推移しており、特に児童福祉費や心身障害者福祉費の増が大きな要因である。一方で、教育費については平均値と比較して大きく下回っており、他の経費を見直し、教育環境の充実を図る必要がある。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

類似団体と比較すると、前年度と比べ普通建設事業が大きく伸びている。市庁舎建設事業による増が大きな要因である。それに伴い、公債費が現在は類似団体より低い水準で推移しているが、今後は水準を上回ることが見込まれる。扶助費については、児童福祉費や心身障害者福祉費が年々伸びており、依然として類似団体の平均を大きく上回っている状態が続いている。積立金については、ふるさと納税の寄付額の増に伴い年々増加しており、税収が減となるなかではあるが、今後もふるさと納税による収入の確保に努めたい。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

実質単年度収支が昨年度は3年ぶりにプラスに転じたが、今年度は再びマイナスとなった。歳入において、地方特例交付金の減や大規模修繕・更新事業などの国庫支出金の減があったが、市庁舎建設事業に伴う地方債の大きな増があり歳入としては前年度より増となった。しかしながら、歳出において、退職者数の増による退職金の増や市庁舎建設事業の増、社会保障費の増などが大きく歳入の増を歳出の増が上回ったことから実質単年度収支がマイナスに転じた。また財政調整基金の取り崩しは続いており、令和元年度は標準財政規模に対し、1.66%となった。このままでは基金が枯渇するため、「人吉市行財政健全化計画」に基づき事業の見直しなど抜本的な改革が必要である。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

各会計ともに赤字額は発生しておらず、適正な財政運営が図られている。しかし、一般会計からの繰出金も多く、特に人口減少・高齢化社会において、医療費や介護給付費の伸びは深刻である。今後は、医療費・介護給付費抑制のための健診や予防事業などに重点を置く必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

実質公債費比率の分子は、工業用地造成事業特別会計の繰入金が増となったことにより、公営企業債の元利償還金に対する繰入金が増となった。これまでも起債事業を行う際は、より有利な起債を発行することで実質公債費比率を抑えている。その結果、実質公債費比率は年々下がってきており、適正な起債計画が行われていると考えられる。しかし、新市庁舎建設事業が始まり、起債額は増えていく。その中で老朽化した公共施設や設備などの更新・改修も進めていく必要がある。引き続き地方債の発行について、適切に管理する必要がある。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

将来負担比率は類似団体の平均値を上回る水準で推移しており、令和元年度決算では昨年度より比率が大きく上昇した。要因としては、新市庁舎建設事業により地方債の現在高が大きく増となったためである。起債の発行については、交付税措置のある臨時財政対策債や緊急防災・減災事業債、補正予算債を中心に検討し、将来負担比率の抑制に努めている。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)令和元年度は、ふるさと納税の寄付額が増加し、人吉応援団基金に318,000千円積み立てたものの、寄付額増による委託料等の事務費への充当の増及び各事業への充当に251,000千円の取り崩しを行った。また、財源不足を補てんするために財政調整基金並びに減債基金からそれぞれ130,000千円を取り崩し、基金全体としては191,000千円の減となった。(今後の方針)令和元年度は、ふるさと納税への積極的な取り組みにより寄付額が前年度から大きく増加した。寄付額が増加すれば、その事務費も大きくなり、事務費への充当額も増えるため、寄付額とのバランスを図りながら、今後も財源確保のため積極的な取り組みを行っていく必要がある。中長期的には、今後も財源不足の補てんのために取り崩し、積み増しができない状況が見込まれ、基金残高は目減りする一方であると懸念される。事業整理を行うなど歳出の抑制に努め、老朽化した公共施設の更新や災害等やむを得ない事態に備え、少しでも積み増しを行いたい。

財政調整基金

(増減理由)財源不足の補てんのために、130,000千円取り崩したことによる減少。(今後の方針)老朽化した公共施設の更新や災害等やむを得ない事態に備え、余剰分は少しでも積み増したいところであるが、近年は財源不足が続いており、その補てんのために取り崩す一方である。本来であれば、年度途中もしくは最終的に基金に積戻し、基金総額を維持しなければならないが、現状では厳しい状況にある。事業の整理を行うなど歳出の抑制に努め、積み増しを図る。

減債基金

(増減理由)財源不足の補てんのために130,000千円取り崩したことによる減少。(今後の方針)老朽化した公共施設の更新や災害等やむを得ない事態に備え、余剰分は少しでも積み増したいところであるが、近年は財源不足が続いており、その補てんのために取り崩す一方である。本来であれば、年度途中もしくは最終的に基金に積戻し、基金総額を維持しなければならないが、現状では厳しい状況にある。事業の整理を行うなど歳出の抑制に努め、積み増しを図る。

その他特定目的基金

(基金の使途)・人吉市庁舎建設等基金:市庁舎建設に要する経費に充てる・人吉球磨地域交通体系整備基金:鉄道湯前線を第3セクターとして運営する鉄道会社の運営経費に充てる・人吉応援団基金:応援団条例にあげる事業に充てる・人吉環境対策基金:生活環境の確保、ごみの減量化及び資源化等に充てる・人吉市繫殖肉用牛導入等資金貸付基金:繫殖肉用牛改良繁殖、維持のための資金貸付に充てる(増減理由)ふるさと納税の増収に伴い、人吉応援団基金へ318,000千円積み立てたが、寄付額増による委託料等の事務費への充当の増及び各事業への充当により、251,000千円取り崩したことによる減。(今後の方針)ふるさと納税について、寄付額と寄付に対する事務費や事業費への充当費用のバランスを図りながら、今後も財源確保のため積極的な取り組みを行っていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

※令和01有形固定資産減価償却率の修正(誤)53.2%(正)68.8%令和元年度においては、新たな有形固定資産の取得よりも経年による減価償却の減が大きく、前年度と比較して0.4%の上昇となった。

債務償還比率の分析欄

財政調整基金及び減債基金を取り崩しているため、充当可能財源が減少し、比率が上昇している。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

※R01有形固定資産減価償却率の修正(誤)53.2%(正)68.8%類似団体と比較して将来負担率が高い水準にある。「人吉市公共施設等総合管理計画」において、持続可能な財政運営が可能となる施設保有量の実現に向け、施設総量の縮減が目標として掲げられているところであり、今後は個別施設計画に基づき、老朽化した施設の集約化・複合化、計画的な長寿命化に取り組んでいくことが重要である。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質交際費比率については、地方債の償還が終了したことや臨時財政対策債の発行額が減少していることから0.7%下降している。一方で、将来負担比率は年々上昇しており、地方債の借り入れの抑制や財政調整基金に依存した予算編成の見直しを図る必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

平成29年度に橋りょうについて、多数の計上漏れがあったことから数値が大きく上昇したが、その後は新たな施設の整備による大きな増加は無い。今後も、公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画に則り、計画的な更新に取り組んでいく。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

保健センターについては、平成28年度に発生した熊本地震により使用できなくなったため解体している、なお、本庁舎についても同様の理由により解体したものの、築50年以上が経過していたことから、減価償却率は10%程度の下降にとどまった。令和元年度においては、市庁舎別館にエレベーターを増設したため、取得価額等の増加によりさらに16.6%下降した。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計においては、資産総額が前年度末から1,505百万円増(+3.7%)となった。資産総額のうち有形固定資産の割合が約94%を占めており、これらの資産は将来の維持管理・更新等において支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化を進めるなど公共施設等の適正管理に努める必要がある。一方で、流動資産では、前年度より708百万円の減となり、その要因として財政調整基金、減債基金が460百万円減少しており、基金の枯渇が懸念される。負債総額は、1,882百万円増(+10.9%)となった。負債総額のうち固定負債について、市庁舎建設事業に伴う地方債の借入により1,950万円増加したためである。水道事業特別会計、公共下水道事業特別会計を加えた全体では、資産総額は前年度末から772百万円増加(+1.3%)し、負債総額は前年度末から1,030百万円増加(+3.5%)している。一般会計等を除くと、それぞれ前年度末と比べ減少している。一部事務組合や第三セクターを加えた連結では、資産総額では前年度末から1,015百万円減少(△1.5%)し、負債総額は前年度末から566百万円減少(△1.7%)した。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は15,567百万円となり、前年度比384百万円の減少(△2.4%)となった。そのうち人件費等の業務費用は7,355百万円、補助金や社会保障給付などの移転費用は8,212百万円であり、移転費用の方が業務費用よりも多い。最も金額が大きいのは社会保障給付(4,608百万円、前年比+159百万円)、次いで補助金(2,192百万円、前年比△351百万円)であり、純行政コストの約56%を占めている。本市において社会保障給付関連の費用は高齢者のみならず、認定こども園移行に伴う保育給付費や障害者関係の費用も増加している。事業の見直しや縮小・廃止を行い、経費の抑制に努めていく必要がある。全体では、一般会計等に比べて水道料金等を計上しているが、経常収益は1,509百万円多くなっている。国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が6,782百万円多くなり、純行政コストは7,261百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が2,301百万円多くなっている一方、人件費が1,193百万円、物件費等も2,256百万円多くなっているなど、経常費用が14,736百万円少なくなっている。純行政コストは12,455百万円少なくなっている

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(14,274百万円)が純行政コスト(14,721百万円)を下回っており、本年度差額は447百万円であり、純資産残高は、税収等の財源の増により、376百万円の減となった。しかし、純行政コストを税収等の財源で補えておらず、地方税の徴収強化や事業の縮小廃止等の見直しを行い、業務の効率化が喫緊の課題である。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が7,551百万円多くなっているものの、一般会計等の影響が大きく、本年度差額は157百万円となっている。連結では、クリーンプラザの償還が終了したことにより人吉球磨広域行政組合への負担金の減少したことから、前年度と比べ純行政コストが830百万円減少し、一般会計等と比べて財源が12,786百万円多くなっているものの、本年度差額は116百万円となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は338百万円であり、これは、社会保障給付支出などの移転費用が増加しており、業務収入が減少していることから賄いきれず、基金を取り崩すなど厳しい財政運営となっている。投資活動収支は▲2,145百万円であり、財務活動収支は1,642百万円であった。このことは平成28年熊本地震関連及び橋りょう大規模修繕工事等の公共施設等整備費支出が増加し、また地方債発行をその支出に充当することにより、地方債償還支出より地方債発行収入が上回ったためである。今後も熊本地震に関連し市庁舎建設事業により地方債発行額は増加していくため、業務活動収支において、プラス収支となるよう、業務の効率化・スリム化に努めていきたい。全体では、業務収入に国民健康保険税や介護保険料、また水道料金等が含まれていることから、業務活動収支は一般会計等より661百万円多い、999百万円となっている。投資活動収支では、水道事業及び公共下水道事業において各管の老朽化対策等を実施したため、▲2,500百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を下回ったことから、1138百万円となっている。連結では、後期高齢者医療広域連合における入院・外来収益等の収入が業務収入に含まれることなどから、業務活動収支は一般会計等より694百万円多い、1,032百万円となっている。投資活動収支及び財務活動収支については全体と同様の状況となっている。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額が、類似団体平均値を大きく下回っているが、これは、特に建物において耐用年数を超えているものが多く、老朽化が進んでいること、また取得年月日等の情報が不足しているものもあり、備忘価額1円で評価しているためである。歳入額対資産比率については、類似団体平均を下回る結果となり、歳入額総額は大きな変動がないため、資産額が年々減少している。有形固定資産減価償却率については、住民一人当たりの資産額からもわかるように市庁舎等の建物が耐用年数を過ぎた資産もあり、類似団体平均を上回っている。上記のとおり、本市では施設の老朽化が特に進んでいる一方で、施設の改修・更新が追い付いていない状況である。平成29年3月に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設等の計画的な更新長寿命化を進めるとともに、統合や廃止を含めた検討も行っていき、公共施設の適正な管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均を大きく下回っている。純資産額は固定資産台帳の見直しの影響により増加しているものの、資産額も同様に増額しているため、前年度と同程度の比率となっている。しかし本市では純行政コストが税収等の財源を上回っているため、純資産額を減少させる要因となっている。業務の縮小廃止など見直しを行い、行政コストの削減に努める。将来世代負担比率については、類似団体平均を上回っており、前年度よりも3.3ポイント増加した。市庁舎建設事業における本体着工により、地方債の借入が増えたことが要因である。市庁舎建設事業関連を除き、新規の地方債発行の抑制や高利率の地方債の借り換えなど地方債残高の圧縮に努めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、類似団体平均を下回っているものの、同程度となっている。しかし、昨年度からは増加(+28,332百万円)している。影響が大きかったものとして、人件費について、退職者の増などにより職員給与費が増加し、さらに年々増加している社会保障費等で認定こども園移行に伴う給付費や障がい者支援に係る給付費等が大きな負担となっているまた、それ以上に人口減少が進んでいることから、資格審査等の適正化や独自加算等の見直しなど抜本的な見直しを行い、社会保障費等の増加に歯止めをかけるよう努めていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額については、類似団体平均を下回っている。熊本地震関連事業や大規模修繕工事により地方債が増(固定負債・流動負債合計で+1,642百万円)となり、負債総額が増額となった。基礎的財政収支については、業務活動収支は増加したが、投資活動収支の赤字が大きかったため、1,914百万円となっている。投資活動収支が赤字となったのは、地方債を発行して市庁舎建設事業で本体工事に着工したためである。業務支出においてはプラスになっているものの、最も大きな割合を占めている社会保障給付支出について資格審査等の適正化や各種手当への独自加算等の見直しを行い抑制するなどにより、適正な支出に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率については、類似団体平均と同程度となっている。今後、施設の老朽化が進み、維持補修等の費用増加も懸念されるため、急激な負担とならぬよう計画的な補修・改修を行っていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,