経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は経年比較で、平年並みとなっており、経費回収率も前年並みとなっている。経営状況としては健全とは言えないが、農業集落排水事業は農業振興地域内の農業集落を対象とする施設で概ね1,000人以下と小規模であるため、ある程度は考慮する必要がある。汚水処理原価については、類似団体との比較では高くなっており経年比較でも増加している。これは平成30年度に不明水を計上したことに伴い、有収水量が減ったための増加である。また、使用料金で維持管理費を賄えていないことから、今後も継続し経費削減に努める必要がある。施設利用率については、類似団体との比較では高くなっており、5処理施設あるうちの比較的高率になっている処理施設は、特定環境保全公共下水道事業との統合等を今後検討する。
老朽化の状況について
管渠については、供用開始後古いものでおおよそ30年となっているが、耐用年数を迎えているものはない。処理施設の改築更新については、平成23年度に古い2処理施設を他事業へ統廃合し効率化を図った。今後、処理施設の改築更新を計画していくため、財源の確保や経営状況への影響を考慮しなければならない。
全体総括
現在の経営状況として、使用料収入により維持管理費も賄えていないため、健全とは言えない状況となっている。料金設定が、総務省の「下水道財政の在り方に関する研究会」で示されている金額と比較し同程度となっているが、経営の健全化を図るため、事業の特性や地域性等を考えながら、今後の料金改定を慎重に検討しなくてはならない。汚水処理原価は類似団体と比較し高くなっていることから、令和2年度に経営戦略を策定後、経営分析を十分行ったうえで、今後も経費削減を意識した経営を行わなくてはならない。