経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、一般会計からの繰入金により、収益的収支を均衡させており、100%となった。累積欠損金は、発生していない。流動比率は、類似団体平均値と比較すると低い数値である。短期的な債務に対する支払能力という意味では、翌年度の使用料収入や一般会計からの繰入金等が原資として予定されており、問題ない。企業債残高対事業費規模比率は、使用料収入に対して約19倍の企業債残高となり、類似団体平均値と比較して高い。経費回収率は、類似団体平均値と比較すると高いが、100%を下回り、使用料で回収すべき経費の全額は使用料で賄えていない。事業規模が小さく経営効率も悪い事業を政策的に公共下水道事業と同料金の設定としているためである。汚水処理原価は、類似団体平均値と比較すると低く抑えられている。公共下水道事業と維持管理等を一括運営していることなどが影響している。施設利用率は、類似団体平均値と比較すると高い。水洗化率は、類似団体平均値と比較すると高い。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値と比較すると低い。しかしながら、企業会計に23年度に移行した際、減価償却が終わっていない部分のみを固定資産に計上したことが影響しており、必ずしも類似団体に比べて施設の老朽化が進んでいないということではない。管渠老朽化率と管渠改善率は、供用開始から32年目の事業であり、法定耐用年数を経過した管渠は無いため0%である。
全体総括
農業集落排水事業は、事業規模が小さく経営効率も悪いため、収益的収支での黒字化は困難である。現状では、一般会計からの繰入金により収支を均衡させており、下水道使用料の設定など、公共下水道事業の経費回収率等を勘案しながらの経営となる。経費節減に努め、施設の維持管理・更新を計画的に進めなければならない。