経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業は、漁業集落排水、小規模集合排水事業と同一会計で運営を行っている。経営状況としては、料金体系が負担の公平性の観点から公共下水道と同一となっていることから、使用料収入等の自主財源で維持管理経費を賄う事ができず、市債償還額の不足分をあわせた収支不足額を一般会計繰入金、資本費平準化債等の借入によって、例年、実質収支を均衡としているが、令和元年度から公営企業会計に移行したため、平成30年度は打切り決算となり、実質収支は黒字となっている。①収益的収支比率は、市債元利償還金の不足額について一般会計繰入金及び資本費平準化債の借入により措置をしている状況であるが、打切り決算に伴い、総費用及び地方債償還金が減となったため、昨年度から大幅な増となっている。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は、類似団体平均よりも上位となっている。なお、汚水処理原価については、打切り決算に伴い、汚水処理費が減となったため、昨年度から大幅な減となっている。⑦施設利用率は、区域内処理人口は減少しているが、昨年度とほぼ横ばいとなっている。⑧水洗化率は昨年度から0.65ポイント向上し、類似団体平均も上回っている。引き続き接続促進等、水洗化率の向上を図り、収入確保と効率的運営に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
本事業は、市内に38箇所の処理場を抱えており、これらの施設の中には供用開始後30年を経過した施設も存在している。処理場等の施設及び機器類については、老朽化の状況に応じ順次修繕、機器更新を行っている。また、管渠については現在耐用年数を経過するものはないが、管路調査等により判明した不良個所について更生工事を行っている。今後、施設の更新期を迎えるにあたり、将来にわたる更新コストの抑制、効率的な施設運営を行うため、施設の機能診断及び最適整備構想の策定、公共下水道に隣接する施設の公共下水道への接続及び施設の統廃合の検討を行い、計画的な更新、長寿命化を図っていく必要がある。
全体総括
本市の農業集落排水事業は、平成28年度に新設事業を完了したところである。本事業は、比較的小規模な施設が市内に点在しており、老朽化の進んでいる施設もあるため、経費の節減に努めるほか、施設の統廃合、更新及び長寿命化を進め、効率的な管理運営を図っていく必要がある。また、農業集落排水事業は令和元年度に公共下水道事業等と共に地方公営企業法を適用し、企業会計に移行した。移行後は、財政状況や経営状況の的確な把握に努め、経営改善を図っていく予定である。