経営の健全性・効率性について
平成25年度まで毎年わずかながら損失が発生し、平成25年度末で117万円余の累積欠損金を計上していた。平成26年度の会計基準見直しによる長期前受金戻入の計上により、平成26年度に一時的に累積欠損金が解消された。平成28年度以降累積欠損比率は0%、経常収支比率は100%を上回っている。流動比率は、借入資本金制度の廃止に伴い、1年以内に償還する企業債が流動負債へ計上されたことで平成26年度から極端に減少したものの、短期支払能力の目安である100%を上回っている。企業債残高対事業規模比率は、企業債の償還により減少しているが、必要な更新を見据え、適切な使用料を維持する必要がある。経費回収率では、平成29年度で41.56%と平均値より高いものの、使用料で経費を回収できておらず、一般会計繰入金で補てんしている状況である。汚水処理原価は、減価償却費と支払利息の減により減少傾向にあるが、建設から20年近くが経過し、施設の老朽化が進む中、今後の更新による汚水処理原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等の社会情勢の変化により、人口や処理水量について、計画値と現状にかい離が発生し、20%台を推移しており、処理能力に余剰が生じている。水洗化率は、平成29年度において、人口増により微増している。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、みなし償却制度の廃止に伴い、平成26年度から若干の増加となった。管渠と処理場別に平成29年度の有形固定資産減価償却率を見ると、管渠は約33%、処理場は約77%で、処理場の機械設備は管渠より法定耐用年数が短い分、老朽化が進んでいる。管渠は法定耐用年数に達していないため、管渠老朽化率、管渠改善率はともに0%となっている。
全体総括
小規模集合排水処理事業は、処理場が1箇所で地理的条件等から公共下水道への統合が難しく、単独で稼働していくことが想定される。平成9年度の供用開始から20年が経過しようとし、今後、処理場の設備等の更新を迎える。水洗化人口が40人前後で使用料収入が限られる中、内部留保資金を活用しながら、適切な施設の維持管理に努めていく。