経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、81.03%で赤字となっている。総収益について前年度決算と比較すると、料金収入はほぼ同額であるが、高資本費対策に要する経費が繰出基準の要件から外れたことから、一般会計からの繰入金が減少した。しかし、総費用及び地方債償還金が前年度より減少したことから、収益的収支比率は前年度よりも改善している。④企業債残高対事業規模比率は、1,150.75%と類似団体平均値より高いものの、年々減少している。今後も企業債残高の圧縮に努めていく必要がある。⑤経費回収率と⑥汚水処理原価は、前年度と比較して汚水処理費用が減少したことから数字が改善し、類似団体平均値と同水準を維持している。今後も汚水処理費用の削減に向けて取り組むとともに、料金改定を含めた経営改善が必要である。⑦施設利用率は類似団体平均値を下回ったが、前年度と同水準を維持している。⑧水洗化率については、微増傾向を維持していることから、今後も継続して接続推進を進めるとともに、処理施設の状況を把握して維持管理に努める。
老朽化の状況について
③管渠改善率2.0%については、供用開始が早く震災の影響が大きかった鹿島北部地区農業集落排水管路施設更生工事によるものであり、平成29年度に工事着手し令和元年度に完了予定である。なお、主要財源については福島再生加速化交付金を活用している。
全体総括
当市の農業集落排水事業は、東日本大震災と原発事故の影響により、施設の大規模な処分、多額の災害復旧事業、使用料収入の減少等様々な事業負担を強いられたことから一時的に財政状況が悪化した。しかし、昨今での経営成績は徐々に回復傾向にあることから、引き続き経費縮減と収入の確保に努め、経営の健全化を図る必要がある。なお、令和2年度から農業集落排水事業について地方公営企業法を一部適用することとしており、より詳細な経営分析を進め、使用料の改定及び改定時期を検討していく必要がある。