経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率収支比率がこれまでより大きく上昇したが、その理由としては基準内の一般会計からの繰入金が増えたことによるものであるため、経営が改善されたとは言えない。収益の一部である使用料収入は毎年平均3.6%ずつ上昇はしているものの、他団体に比べ使用料単価が低いため経営改善に繋がりにくい状況である。④企業債残高対事業規模比率各年度で、企業債の借入額が償還額を上回らないように事業を進めてきたことにより、比率が下がる傾向で推移してきている。しかし、今後流入汚水量の増加に伴う処理場施設の増設を予定しているため、数年後は比率が下がりにくい状況になると想定される。⑤経費回収率若干ずつではあるが回収率が上昇してきている。しかし、その比率は100%以下であり類似団体と比較しても低水準である。回収率を上げるには汚水処理費を削減するか使用料収入を上げる必要がある。使用料においては、市民の節水意識の向上等により、計画どおりの収入があるとは限らないため回収率も上がりにくい状況である。⑥汚水処理原価類似団体と比較して低い水準を保っており、効率的な汚水処理が実施されていると考えられる。今後、企業会計へ移行し、ますます独立採算制が求められることから、職員の一人ひとりがコストへの意識を高めていくことも必要である。⑦施設利用率過大な先行投資にならないように、汚水流入量の予測を適切に行い増設計画を立てているため、利用率は高く保たれている。⑧水洗化率水洗化率は年々上昇しているが、類似団体と比較するとまだ低い水準となっている。使用料収入が下水道経営の基盤となることから、水洗化促進を図り増収に努める必要がある。
老朽化の状況について
処理場施設の老朽化については、長寿命化計画により順次改築更新を行っており、今後も本計画に基づいて進めていく予定である。管渠の改築更新については、耐用年数を経過していないことから、現在までのところ行っていない。
全体総括
人口減少や節水意識の向上により、使用料収入減少が危惧されているが、本地区においては少しずつではあるが、水洗化率や使用料収入は伸びてきており、各種指標も上向きを示している。しかしその値は、経営指標としては低い状況での推移である。今後、処理場施設の増設も予定されていることから、経営はますます厳しさを増していくことが予想される。このため汚水処理費の削減に努め、引き続き水洗化への取り組みも行っていかなければならない。また、使用料単価が他市町と比較すると低い水準であるため、水洗化促進に加え使用料金の改定も視野に入れながら経営改善を図っていく必要があると考える。