経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、100%以上の場合が黒字であることを示す指数であり、70%程度の横ばいで推移し赤字であることを示しているが、総収益の増加と総費用等減少により年々収益率が上がっている。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値を下回っているものの、平成29年度から長寿命化対策事業を実施しており、今後は悪化すると推測される。⑤経費回収率は、類似団体平均値を若干下回っており全国平均値以下でもあり、適切な使用料水準が確保されていないことを示している。今後、料金の適正化に向けた検討が急務である。⑥汚水処理原価は、類似団体平均を下回っており、汚水処理費用の効率化と削減が図られていることを示している。⑦施設利用率は、類似団体と比べ今年度は下回っていることから、施設規模は不適正であると判断される。今後は、節水型機器の普及や人口減少により年々処理水量が減少し、利用率も徐々に低下すると推測される。⑧水洗化率は、90%に近いが類似団体平均の水洗化率が、1年で飛躍的に伸び今年度は下回ったが、適正な状況に近いと判断される。水洗化率の向上は使用料収入の増加につながることから、今後も経営改善の施策として取り組むこととしている。
老朽化の状況について
公共下水道は、管渠の標準的耐用年数は50年であるが、供用開始後30年を迎え、老朽化を示す指標や改善率については、今後調査研究すべき課題であると捉えている。しかし、将来の管渠等の老朽化に備えるため、料金の適正化に向けた検討と併せて管渠等の状況把握を的確に行う必要がある。
全体総括
人口減少による使用料収入減少が危惧される中で、老朽化対策については計画的に実施しなければならない。その更新費用の財源は、起債と一般会計からの繰入金頼みであることから、料金改定による財源確保と施設の長寿命化に関する検討を行う必要がある。平成28年度から取組んでいる地方公営企業法適用による企業会計移行によって、経営状況の把握が一層明確になることが期待される。今後は「経営戦略」の策定により適正な料金改定を実施し、アセットマネジメントにより、経営と施設の健全化を図っていきたい。