経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、収益的収支比率が60%前後で推移しており、厳しい経営状況である。これまでも経営改善のため、維持管理費を抑制し運営を行ってきたが、平成27年度については、地方債償還額がピークを迎えたことで収益的収支比率が前年度より悪化している。また、市街地域への供用が完了したことで、今後の周辺地区への拡張を抑制しており、大幅な加入者増による使用料収入の増加が望めないことに加え、本市は一般会計も財務状況が厳しいことから不足分を補うほどの繰入金を繰出せない状況であるため、現状での改善が困難となっている。一方で経営改善策として、新たに「し尿処理一元化事業」を行うことが決定した。これは、現在、本市と隣町で発生した、し尿と浄化槽汚泥の処理を両自治体で設立した一部事務組合で行っているが、この処分業務について、本市公共下水道事業で受託するものであり、その処理委託料収入により経営状況が改善を図るものである。
老朽化の状況について
昭和63年度の供用開始から28年が経過し、老朽化が進んでいる施設もあり、効率的な更新事業のために長寿命化対策を実施している。これまでは汚水処理場の更新を行ってきたが、管渠についても、平成28年度まで現状調査を実施し、平成29年度から随時更新を行っていく。
全体総括
前出のとおり、本市の下水道事業は非常に厳しい経営状況に陥っているが、し尿処理一元化事業による収益増や平成27年度にピークを迎えた起債償還額の減少など、経営面で将来的には明るい兆しが出てきている。しかし、し尿一元化事業が本格稼働する平成32年度までは期間があり、起債償還額も減少するとはいえ、今後数年は高値で推移するため、平成31年度までの経営は厳しいものとなる。また、平成32年度以降に経営が改善したとしても、老朽化による更新事業費が増大することに加え人口減少時代を迎えたことで、将来的な汚水処理量の減少による収益減等のマイナス要因も考えられることから、適宜、経営改善や収益増に努めることが必要である。