経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は、平成28年度より地方公営企業場を適用し、公営企業会計となり、2年目の決算を迎えました。平成20年移行の管渠築造や処理場建設等の集中的な整備により、普及率は平成22年度の52.8%から平成29年度98.7%と大きく向上しました。普及拡大に伴い使用料収入は年々増加しており、その他一般会計からの繰入金などもあって、①経常収支比率は前年度から微増し、類似団体とほぼ同程度となっています。一方、集中的な整備の財源として多額の企業債を借り入れたため、④企業債残高対事業規模比率は類似団体よりも高く、またその償還金として流動負債が高額となったため、③流動比率は前年度から上昇しているものの100%には至っていません。⑤経費回収率は前年度から上昇し、類似団体より高くなりました。⑥汚水処理原価は148円と、類似団体とほぼ同額となっています。前年度と比較するとこれらの指標は、若干改善傾向にあります。今後も人口増加や使用料改定による使用料収入の増により改善されると予測されますが、更なる経費の削減が求められます。⑦施設利用率は類似団体を上回っており、効率的な利用ができているものと推察されます。⑧水洗化率は、前年度から微増しているものの類似団体の平均値より大きく下回っており、今後向上に向けた企業努力が必要です。
老朽化の状況について
本市の下水道の本格的な整備は平成20年度以降であるため、①有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して非常に低い状況です。まもなく耐用年数を迎える、大型団地の開発に伴う早期に供用開始した管渠等の老朽化対策として、管路調査等を経て計画的な改築・更新を順次実施しています。
全体総括
公営企業会計となり2年目の決算を迎え、経常収支は前年度に引き続き黒字となりました。平成29年度においては、健全な経営が行われている状況です。将来を見据えますと、公共下水道事業は整備がほぼ完了しており、今後、人口の増加や使用料改定に伴う使用料収入の増加は見込まれるものの、集中的な整備の財源として借り入れた企業債の償還や、処理場の設備等の修繕、更新費用などが確実に増加する見込みです。更なる経営改善に向けて、収入面は使用料収入の確保や水洗化率の向上など、支出面では処理場の設備等の更新費用の縮減を目指し、ストックマネジメント計画に基づいた施設の長寿命化を図っていく必要があります。