経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、平成28年度より地方公営企業法を適用し公営企業会計となり、4年目の決算を迎えました。平成20年以降の管渠築造や処理場建設等の集中的な整備により、令和元年度の普及率は、平成22年度の52.8%から99.1%と大きく向上しています。人口の増加や普及拡大により、使用料収入は増加しており、その他一般会計からの繰入金などもあって、①経常収支比率は、前年度と比較し微増の109.30%となっています。一方、集中的な整備の財源として多額の企業債を借り入れたため、④企業債残高対事業規模比率は大きく上昇し、類似団体より高くなっています。また、その償還金として流動負債が高額となり、③流動比率は65.90%にとどまり、100%には至っていません。⑥汚水処理原価は161.88円で、類似団体の平均値より高くなっています。⑤経費回収率は102.04%となっており、健全性は確保されていますが、更なる経費の削減が求められます。⑦施設利用率は類似団体を上回っており、効率的な利用ができているものと思われます。⑧水洗化率は90.92%となり、類似団体の平均値に近づきつつありますが、今後も向上に向けた企業努力が必要です。
老朽化の状況について
本市の下水道の本格的な整備は、平成20年度以降であるため、①有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して、非常に低い状況です。まもなく耐用年数を迎える大型団地の開発地域について、早期に供用開始した管渠等の老朽化対策として管路等調査を経て、順次、計画的な改築・更新を実施しています。
全体総括
公営企業会計となり4年目の決算を迎え、経常収支は、前年度に引き続き黒字となりました。令和元年度においては、健全な経営が行われている状況です。将来を見据えますと、公共下水道事業は整備が完了しつつあり、今後、人口の増加に伴う使用料収入の増加が見込まれるものの、集中的な整備の財源として借り入れた企業債の償還や処理場の設備等の修繕、更新費用などが確実に増加する見込みです。更なる経営改善に向けて、収入面では使用料収入の確保や水洗化率の向上など、支出面では処理場の設備等の更新費用の縮減を目指し、ストックマネジメント計画に基づいた施設の長寿命化を図っていく必要があります。