経営の健全性・効率性について
本市の下水道は、平成3年に供用開始し、約25年が経過するが、普及率は類似他都市と比較すると低い状況にある。要因の一つには、早い時期に整備を行った市街地等から郊外の未整備区域への人口移動等が挙げられる。処理場の処理能力は、当初の計画に合わせているため、処理能力に余裕はあるが、非効率な状況。建設に要した企業債の償還金及び施設の維持管理費が大きな負担となっている。平成27年10月に使用料改定を実施したことで県下では高い料金水準にあり今後の大幅な増収は困難と思われるが、平成30年4月から公営企業会計一部法適用することもあり使用料改定の適否を検討予定である。グラフ①収益的収支比率の平成24年度からの落ち込みは、下水道整備に要した借入金の償還金の増加が要因。既借入起債分の償還金額は平成28年度にピークを迎え、その後は減少するが、現在も幹線工事等を行っており、新規借入分を含めると、平成34年ごろまで増加する見通し。グラフ④の比率が示す通り、本市の料金収入規模では、過剰投資の状態にある。本事業は2つの処理場を有しており、維持管理費の1/2は、その運転管理委託料が占める。これらの経費は、処理水量の多少に関わらず固定であり、汚水処理原価を押し上げる要因となっている。
老朽化の状況について
管渠については、更新時期に至っておらず問題ない。津山浄化センターは、平成24年度に策定した長寿命化計画に沿って改築更新を行っている。平成14年に供用開始した勝北浄化センターについては、平成30年度に長寿命化計画を策定予定であり、その後は順次更新を行う。
全体総括
津山市の公共下水道の普及率は、平成27年度末で34.6%と低い数値であり、下水道計画区域全体を整備するのに、あと40年かかる予定である。人口減少の課題は、有収水量の低下に直結し経営を圧迫するため、都市計画課が担当する「立地適正化計画」との整合を図った事業計画の見直しが必要となる。今後は、計画区域の縮小、既存施設の維持管理、整備済区域での水洗化率向上が課題となる。