経営の健全性・効率性について
当市における公共下水道事業は、H14に事業認可を受け事業着手し、H18.4.1から供用開始しており、今後も順次整備区域を拡大することとしている。①収益的収支比率は近年100%を超えていたが、H28は前年比5ポイントマイナスで、下回る結果となった。この要因は、区域の拡張により料金収入は増加しているものの、地方債償還費の増加や資産管理システム構築の必要、汚水処理の過程で生成される汚泥の処分費や機械設備の更新修繕といった費用の増加が収入の増加を上回ったことによる。④企業債残高対事業規模比率は、地方債償還費を一般会計繰入金で賄わなければならない状況であることからゼロになっている。⑤経費回収率は類似団体平均値を下回り、⑥汚水処理原価は逆に同平均値を上回る結果となったが、これは上記①で記述したように、H28の臨時的な費用の増加が収入の増加を上回ったことが主な要因である。⑦施設利用率は区域拡張による接続家庭の増加により、少しずつ伸びてきている。⑧水洗化率は前年から3ポイント弱のマイナスとなった。これは、新たな供用開始により対象人口が増えたものの、その供用開始時期が年度中途からとなった区域があったため、年度末において例年並みの接続に繋がらなかったことによる。
老朽化の状況について
供用開始後11年が経過したが、管渠の法定耐用年数は50年であり、老朽管の更新等は行っていない。このため管渠改善率の数値は出ていないが、今後必要となるストックマネジメント計画を策定する中で、より良い経営にむけた管渠・処理場の老朽化対策を図っていく必要がある。
全体総括
H28は、適正な会計管理を目指す観点からの資産管理に係る臨時支出があったほか、機械設備の更新(破砕機のオーバーホール)といった臨時修繕を行う必要があったこと等から汚水処理経費が膨らみ、経営指標的には前年を下回る結果となった。このように臨時的費用が大きくなることもあるが、特に施設管理費については、できる限り節減や平準化に努め、運営の効率化を今後も図っていく。また本市では、過疎化が進行し、高齢化率が高くなっている状況にあることから、今後の下水道区域の拡大について、接続に繋がりやすい地区の優先的整備を図るとともに、管渠整備済みの地区においては引き続き接続率向上の取組みに努めることとしている。