経営の健全性・効率性について
現在の公共下水道の経営は、汚水処理に要する経費を下水道使用料収入で賄うことができず、一般会計から赤字繰入である基準外繰入により経営が成り立っている状況です。汚水処理に要する経費には維持管理費(汚水を処理する経費や下水道管、処理場などの施設等を維持管理するための経費)と資本費(下水道を整備するために借入れた地方債の元利償還費)があります。⑤の経費回収率にみられるように、現在の下水道使用料収入では、汚水処理に要する経費の60%程度を回収となっています。経費削減や職員数を抑える努力を行っておりますが、今後も厳しい経営状況が予想されます。当市は起伏に富んだ地形であり、下水道整備費用が大きく、ポンプ等の施設整備も必要となり資本費の負担が大きくなっています。また、このことに伴いポンプ等の維持管理も発生し、維持管理費の負担も大きくなっています。このことが汚水処理に要する経費及び⑥の汚水処理原価が高くなっている要因となっています。⑧に見られるように水洗化率は環境美化意識の高まりもあり高くなっておりますが、使用料収入の増収を図るためにもさらなる公共下水道への接続を促進する必要があります。なお、当市の公共下水道の汚水処理は全て県営の流域下水道施設で行っているため、⑦施設利用率の数値はありません。
老朽化の状況について
昭和54年度の建設事業開始、平成13年度の供用開始から下水道施設、とくにポンプなどの機械器具の老朽化による不具合の発生などが見られます。管渠については整備後30年を経過するものが増えていきます。今後老朽化による修繕費用の増加が予想されますので、長寿命化計画による改築更新や計画的な修繕対応が必要となります。
全体総括
当市の下水道は未だ整備中であり、今後も下水道施設の管理は増えて維持管理費の負担が増すことになります。さらに今後は、下水道施設の老朽化対応の経費も必要となります。そのため、支出においては効率的な維持管理など経費削減、計画的な下水道施設の老朽化対策に努め、収入では普及活動による下水道への接続件数を増やす、適正な使用料単価の見直し検討など下水道使用料収入の増やすことで、下水道の経営改善を図る必要があります。