経営の健全性・効率性について
経常収支比率は95.61%となり、前年度から1.33ポイント減少しているが、今後は、分母を構成する経常費用のうち減価償却費が減少する傾向にあることから、増加することが見込まれる。累積欠損金比率は、平成24年度以前(地方公営企業法適用前)に発行した下水道事業資本費平準化債等の影響から平成28年度で1,234.08%となり、類似団体平均値、全国平均値を大幅に上回っている。比率の分子である累積欠損金に影響する純損益は、減価償却費が減少する傾向にあることから、比率の増減は横ばいになることが見込まれる。流動比率は58.34%となり、100%を大きく下回っている(平成28年度末から1年以内の支払いに対応する資金が同年度末で不足)が、比率の分母となる流動負債のうち企業債償還金(翌年度償還分)に係る財源は、1年以内に収入する一般会計繰入金、下水道事業資本費平準化債等を予定していることから、大きな影響はないと考えている。企業債残高対事業規模比率は1,133.61%となり、前年度からは219.46ポイント増加している。前年度までは減少傾向であったが、建設改良事業の財源となる企業債として平成28年度で1億8,920万円の発行をしたことにより増加することになった。平成29年度においても建設改良事業の財源となる企業債として1億5,680万円の発行を予定しているが、平成30年度以降の企業債残高は減少する見込みであるため、当該比率は減少する見込みである。経費回収比率は81.31%となり、100%未満(費用が使用料収入以外(繰入金等)で賄われている)となっていて、類似団体平均上回っているが、全国平均との比較では19.09ポイント下回っている。また、汚水処理原価は平成28年度で283.28円となり、類似団体平均を20.4円上回り、全国平均を大きく上回っている(有収水量1㎥当たりの処理費が高い)。ついては、平成28年度末で53.26%と低迷している水洗化率や施設利用率(H28で28.14%)の向上による有収水量の増加、使用料収入の確保に向けた取組を、今後も継続して進める必要がある。
老朽化の状況について
公共下水道事業は、平成16年3月の供用開始から13年が経過したところであり、有形固定資産減価償却率は13.46%で100%を大きく下回っている(保有資産の法定耐用年数に到達していない)ことから、現段階では、機械設備等の定期的な点検整備を行うことで、大規模な更新事業等を行う必要はないと考えている。
全体総括
供用開始(平成16年3月)から13年経過したところであるが、水洗化率は53.26%と低迷している。本町では、平成20年度から計3回(平成20年10月、平成23年7月、平成26年7月)の使用料改定を行ってきたところであるが、それ以上に、水洗化率の向上による有収水量の増加、使用料収入の確保が大きな課題となっている。当面は、下水道事業資本費平準化債発行の継続による企業債元金償還金の財源確保、財政課との協議による一般会計繰入金の確保等、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」に基づく運営を進めることで、本事業の現金による収支が均衡するよう、運営に必要な財源を確保していきたいと考えている。