経営の健全性・効率性について
平成26年度の①経常収支比率は97.76%で純損失ではあるものの、例年100%前後を推移しており、総収益で総費用をほとんど賄えていると言える。しかしながら⑤経費回収率は依然低い数値を保っており、一般会計からの補助金で経営をやりくりしているとも言える。これは、農業集落排水事業が丸岡町竹田地区で山の上にあり、人口規模等が僅少であるという地理的要因等の構造上、汚水処理費が高くなってしまうためである。現に、⑥汚水処理原価は類似団体平均や全国平均よりも高くなっている。⑦施設利用率は37.80%で一見、事業に対して過大なスペックとなっているように見えるが、平成26年度の一日最大処理水量は275㎥で、一日最大処理能力の373㎥で割ると73.72%となり、決して遊休状態にあるとは言えない状況である。③流動比率については年度によって増減が激しいものの現金預金は例年ほぼ同水準を推移しており、平成26年度は前年度より100万円ほど減少したのみである。未払金だけでみると平成24年度以降は年々減少しており、健全な経営が図られていると言える。なお、平成23年度までは竹田地区に加えて針原地区、春江北部地区も農業集落排水事業だったが、平成24年度より針原および北部の2地区が公共下水道に接続したので、④企業債残高対事業規模比率や⑦施設利用率、⑧水洗化率等に影響を及ぼしている。春江針原・北部の2地区は水洗化率が100%だったこともあり、平成24年度には⑧水洗化率が急激に落ちているもののその後は年々向上している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率が平成26年度に倍増しており、施設が老朽化していることがわかった。しかしながら管渠の法定耐用年数を超えるほどの経年化は進んでおらず、②管渠老朽化率は0%、それに伴う③管渠改善率も0%である。つまり、処理場施設(主に機械及び装置)の老朽化が進んでおり、今後、計画的に改築を行っていく必要がある。
全体総括
本市の農業集落排水事業は処理区域内人口が371人、水洗化済人口が314人と規模が小さいので、どうしても汚水処理原価が高くなってしまう。母数が少ないので必要経費を使用料のみで賄うことは厳しく、一般会計からの補助金に頼って経営を行っているのが現状である。公共下水道との均衡性を保つため使用料改定を本事業のみで行うのは難しく、公共下水道に合わせて改定していく必要がある。処理施設の下流には県水道用水供給事業の取水口があることから、建設当初より当事業は政策的意味合いが強く、使用料収入で不足する経費は一般会計が賄うこととなっている。地理的要因から公共下水道への接続も難しいので、今後もこのような経営状態が続くものと思われる。現在は法定耐用年数を迎えた管渠もなく布設や改築を行っていないが、今後は発生することも見込まれるので、一層の経営改善をはかっていく。