経営の健全性・効率性について
十日町市は、類似団体平均と比べた場合、経営の健全性・効率性は平均的であると言えますが、簡易水道事業は人口密度が低い地域をカバーする「福祉水道」とも言われる収益性の低い事業であり、十日町市の簡易水道事業も『⑤料金回収率』は低く、『⑥給水原価』は高い数値となっています。債務残高は水質悪化に対応するための施設整備や、老朽化した管路・施設更新の影響から近年上昇しており、今後も高水準で推移するものと見込んでいます。そのため、『④企業債残高対給水収益比率』も高水準で推移しています。過疎化により給水人口は減少し料金収入は低下していますが、施設等の維持管理費は地形的に施設の効率化が難しいため減少していません。簡易水道事業は水道料金収入だけでは経営が成り立たないため、国からの建設改良に対する補助金や地方交付税、市の一般会計からの繰入金などの財政支援を受け経営が成り立っています。しかし国からの財政支援は縮小の方向にあり、過疎化の影響から料金収入が減少しているため、収支は急速に悪化しており、今後大幅な料金改定が必要になるものと想定しています。
老朽化の状況について
近年、十日町市は類似団体平均・全国平均を上回って管路を更新していますが、『③管路更新率』は低く、更新を適正に行えているとは言えません。管路の耐用年数はおおむね40年程度であり、1%前後の更新率では耐用年数以内の管路更新は不可能と考えられます。また、十日町市の簡易水道事業は昭和30~40年代に半数以上が創設されており、施設の老朽化も進んでいます。今後、施設・管路の更新を計画的に行う必要がありますが、更新費用の原資である水道料金収入が不足しており、加えてマンパワーも不足しているため、これらを含めた更新計画を早急に策定する必要があります。
全体総括
国の施策の影響と、過疎化の影響から、収入は年々減少するものと見込んでいます。施設を運営するための経常経費は増加しており、施設・管路の更新費は老朽化の影響から今後増大するため、支出は増加するものと見込んでいます。収支の改善と老朽化への対応は喫緊の課題であるため、施設・管路の更新と財源確保を計画的に進めるためのアセットマネージメントを平成29年度に行っています。なお国に対しては、過疎地域であっても、良好な水道水を一般的な水準の料金にて使用できるよう、財政支援の縮小ではなく、拡大を行っていただきたいと希望いたします。