経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は、上中山地区が公共下水道に移行したこと等により使用料収入が1億円を割り、前年度に比べ総収益は減少しましたが、総費用及び地方債償還金も減少しており、結果としては前年に比べ微増しました。「企業債残高対事業規模比率」は、地方債の償還が進んだことにより、今年度も状況が改善されました。類似団体との比較において平均を下回っていますが、接続率を向上させることで更なる経営改善を図る必要があります。「経費回収率」は、前年に比べ使用料収入が減少しましたが、修繕費や地方債償還金も減少しており、状況が改善しました。しかし、類似団体との比較において平均を下回っていること、委託料が前年と同レベルであったことから、長期継続契約の採用等により経費の削減を図ることで、改善に取り組む必要があります。「汚水処理原価」は、前年より下降しましたが、類似団体と比べわずかに高いことから、引き続き経費削減の取組を継続していきます。「施設利用率」は、施設の公共下水道への接続を順次行っていますが、平成26年度以降は横ばいで推移しており、類似団体と比べても高い水準になっています。「水洗化率」は、平成30年7月に接続率の低い上中山地区が公共下水道に移管したことで、前年から上昇しました。
老朽化の状況について
処理場について、施設が老朽化した大島地区の処理場を平成24年度に廃止し、公共下水道に接続しました。管渠については、米倉地区が昭和61年から工事に着手しており、管渠の法定耐用年数は50年とされているため、令和18年頃に耐用年数を迎えます。現状では老朽化による問題等は見られないため、更新工事は行っておりません。ただし、ポンプ類、ブロワ類及び計器類については、耐用年数がそれぞれ15年、20年、10年であり、耐用年数が経過した設備もあることから、適正な管理や早期の修繕により可能な限り耐用年数を延ばすことで、設備投資の増加を抑制しています。また、平成26年度に各処理場が老朽化した際の対応について検討を行い、最適化構想をまとめました。今後は、その構想に基づいて更新を行っていきます。
全体総括
増大する改築需要に対応するため、平成26年度に農業集落排水施設最適整備構想を策定しました。存続する処理場等では、修繕・改築を平準化することで施設の長寿命化を図りながら、経営の安定化を目指しています。また、接続促進員が、接続率の低い地区を重点的に個別訪問し、地域の協力を得ながら未接続世帯の解消、接続率の向上を図っています。これらの対応により、「収益的収支比率」「経費回収率」「汚水処理原価」「施設利用率」の改善及び将来の管渠更新等に向けた資金の確保が期待されます。「経費回収率」については、人口減少が進んでいることや、農業集落排水事業の「汚水処理原価」が公共下水道事業に比べて高いにもかかわらず、使用料が公共下水道事業より低い設定になっていることから、公共・農排を含めた全体的な使用料体系のあり方の検証が今後の課題となっています。