経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は82.66%と、前年度から続いていた大涌谷周辺の火山活動に伴う大涌谷園地の立入規制が解除されたこと等により観光客が増加し、その結果、料金収入が増加したため、前年度と比較すると改善しましたが、依然として100%未満に留まっています。これは、建設当初に借り入れた地方債の償還額が大きいことが原因であり、資本費平準化債の活用などで対応していますが、今後は当該地方債の償還が順次終了していくため、改善が見込まれます。また、企業債残高対事業規模比率にあっては類似団体内でも低い水準となり、経費回収率にあっては100%を超える水準となり、それぞれ改善しましたが、いずれも当該年度の状況であり、今後も料金改定を含め経費の削減などの改善が必要となります。汚水処理原価は、地理的制約のため、処理場が2つあること、ポンプ場の数が多いことなどから類似団体の平均よりも高い水準となっています。こちらについては、やむを得ない面もありますが、一方で、より一層の経費削減を図っていく必要があります。施設利用率は50%前後を推移していますが、これは当町が観光を基幹産業としているため、一時的な観光客の増加にも対応できるだけの余裕を施設に確保していることによります。同様に、水洗化率は、対住民人口で算出されているため、本町に多く設置されているホテル、保養所、別荘などの数が反映されておらず、類似団体の平均よりもやや低い水準となっています。
老朽化の状況について
管渠改善率は、類似団体の平均的な水準ですが、当町の下水道管路施設は98㎞に達しているため、下水道の普及促進とともに、これまで整備してきた管路施設の老朽化対策を今後さらに推進していく必要があります。また、今後の投資計画は、ストックマネジメントの考え方を導入し、施設の延命化と維持管理や改築事業に要する費用の標準化等による長期的な管理経費の抑制を図るため、予防保全型の施設管理を基本としたものに見直していくことが必要となります。
全体総括
当町は、観光立町であるため、観光客の動向により料金収入は大きく左右されることとなります。また、今後は、施設の老朽化対策や流域下水道への加入に係る建設費などのために多額の資金が必要となります。このような状況の中で安定した経営を行っていくために、料金改定を含め、維持管理費用の削減、水洗化率の向上など経営状態の改善に向けて経営計画の見直しを進めていく必要があります。