経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は平成23年度以降同水準で推移しているが,収益の大半は一般会計からの繰入れに依存したものである。経費削減,有収水量の確保など収支両面から経営改善に取り組む必要がある。④施設の建設事業は完了しているため,資本費は償還のみであるが,世代間の公平性などの観点から資本費平準化債を活用しているため,分子となる企業債残高に大きな減少はなく同水準で推移する見込みである。比率の改善には,有収水量の向上などによる使用料増収が課題である。⑤⑥農業集落排水はスケールメリットが働きにくい事業であるため,全体的に汚水処理原価は高くなり,経費回収率が低くなる傾向にあり,本市も同様の傾向となっている。今後,水洗化率の向上,経費削減など収支両面から経営健全化に取り組み,数値の改善に取り組む必要がある。⑦⑧施設利用率は,水洗化率が低率であるため類似団体と比較して低いものとなっている。今後も戸別訪問などを継続して行い,水洗化率向上に努めていく。
老朽化の状況について
近年,硫化水素等により施設の耐用年数が短くなる事案や,経年劣化による汚水ポンプの部品交換,状態監視保全により必要となった水処理施設の修繕など,供用開始から10年経過した時期から,施設の老朽化などが顕著に現れ始めている。現在,巡回点検により,設備の稼働状況を確認し,修繕が必要である処理場設備を修繕し,機能停止を防止していることろである。今後は,処理場設備等が耐用年数を迎えるため,計画的な修繕等に努め,施設の延命化を図りライフサイクルコストの削減に努めていく。
全体総括
農業集落排水事業は,供用開始から13年が経過し,施設の修繕費などの維持管理費が増加基調にある。一方で,使用料収入は低廉な価格設定,水洗化率の低さを反映し,依然として低いため,収支ギャップが埋まらないのが現状である。そのため,水洗化率の向上などにによる使用料収入の増収,適正な維持管理による中長期的視点に立った歳出削減など,収支両面から経営健全化に努める必要がある。また,効率性の観点から,事業着手時に検討した公共下水道との統合についても,当時と比較すると,建設コスト等の縮減,区域内人口の見込などが変わってきていることから,大規模な改修を要する時点などに,改めて検討する必要がある。