経営の健全性・効率性について
平成27年度に下水道整備に要する費用の平準化を図るため、資本費平準化債を発行した結果、①収益的収支比率は下がり、④企業債残高対事業規模比率が上がりました。⑤経費回収率は、⑥汚水処理原価を低く抑えることで99.69%となり、使用料収入で汚水処理にかかる費用をほぼ賄っています。しかし、類似団体や全国平均と比べると汚水処理原価はまだまだ高いため、引き続き費用の縮減に取り組み、経営の効率性向上を図らなければなりません。⑦施設利用率は59.68%、⑧水洗化率は85.51%と平均値と比べても低い状況です。引き続き水洗化率の向上に努めるとともに、施設の有効活用も検討する必要があります。
老朽化の状況について
管渠施設は、昭和56年度に下水道建設を開始してから35年以上が経過しました。これまで管渠の更新は必要ありませんでしたが、56年度以降集中的に整備された管渠は今後大量に老朽化していきます。今後はストックマネジメント計画も視野に入れ、最適な施設管理を行っていく必要があります。ただし、①収益的収支比率が恒常的に100%を下回っており、このままでは今後発生する管渠の更新費用を使用料収入では賄えない事から、将来の事業継続に向けた対策を講じていかなければなりません。処理施設については、昭和61年の供用開始から約30年が経過します。耐用年数の10~15年を超える老朽化した機械・電気設備も多くあることから、長寿命化計画に基づき計画的に改築・更新を行っていきます。
全体総括
今後見込まれる施設の改築費用や維持管理費用の増加、人口減少による使用料収入の減少等を踏まえ、快適な市民生活を支える下水道事業を持続的に提供していくためには、安定した下水道経営の実現が不可欠です。そのためには、地方公営企業法を適用し、財務諸表などから的確な経営分析を行い、経営改善を図っていかなければなりません。特に、保有する膨大な施設の資産価値を把握し、毎年度減価償却していくことで算定される汚水処理に要する費用から、適切な使用料の設定を図る必要があります。経営原則の独立採算性を高めるためには、経営の健全化を図り一般会計からの繰入を減らし、自立性をもって事業を継続していく必要があります。