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福岡県糸島市の財政状況

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

令和元年度以降、継続して類似団体平均を上回っているものの、市民一人当たり市税額は県内都市では低い状況にある。その要因として法人事業所が少なく、一人当たりの法人市民税額が低いこと、また一人当たりの固定資産税額も低いことが挙げられる。今後も引き続き、法人市民税、固定資産税等の増収や雇用の創出による市内経済の活性化を図り自主財源の確保を目指す。

経常収支比率の分析欄

令和5年度の経常収支比率は85.7%となり、前年度より3.4ポイント上昇した。これは、普通交付税や市税など分母である歳入の経常的一般財源等が増加(419百万円)したものの、公債費や扶助費などの分子である歳出の経常的一般財源等がさらに増加(1,094百万円)したことによる。今後も、高齢者医療への負担金や繰出金の増加、公共施設の老朽化等に伴う修繕費の増加が見込まれるため、公共施設等総合管理計画第1期アクションプランや行財政健全化計画などに基づく歳出抑制や歳入確保を引き続き進める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口一人あたり人件費が類似団体平均を大きく下回っている要因としては、合併後に、毎年職員数の削減を行ってきたことにより人件費の抑制が図られていることや人口が増加していることなどが挙げられる。一方、物件費については、民間委託化を推進し、職員人件費等から委託料(物件費)へのシフトが起きていることなどから増加傾向にある。今後も、職員数の適正化に努めるとともに、行財政健全化計画により財政の健全化を図る。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は、継続して類似団体平均を上回っているものの、令和5年度は98.8%となり、前年度を0.6ポイント下回った。これは、平均給与の高い者が退職したこと及び採用者年齢が下がったことや、経験年数階層区分の分布の変化による。今後も、国の動向や他自治体の状況を踏まえ、適正職員数の確保と併せ、給与の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

類似団体平均を大きく下回り、類似団体内で最も低い。合併時に作成した新市基本計画に基づき職員削減を行い、事務の統廃合縮小や民間委託を積極的に行ってきたこと、また人口が前年度より131人増となったことが要因である。職員数については、定員適正化計画に沿って、今後も引き続き適正な職員数の確保を進める。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率は、令和元年度以降、継続して類似団体平均を下回っているが、令和5年度は新庁舎整備事業、運動公園整備事業などの地方債元金の償還が開始されたことから、0.1ポイント上昇した。今後は、公共施設の長寿命化などにより公債費が増大し、比率の上昇が見込まれることから、地方債の計画的な発行、公債費の抑制に努め、中期財政計画に沿った財政運営を確保する。

将来負担比率の分析欄

令和4年度と同様に、将来負担比率無しとなっている。これは、新庁舎や運動公園整備などの大型事業に伴い地方債現在高は増となった一方で、財政調整基金やふるさと応援基金などの充当可能基金(財源)が大きく増加しているためである。しかし、今後も継続する公共施設の長寿命化などによる地方債発行額の増により、比率の上昇が見込まれることから、地方債の計画的な発行、公債費の抑制に努め、中期財政計画に沿った財政運営を確保する。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

令和5年度は前年度比0.7ポイントの増となっている。類似団体平均より低い傾向にある要因は、平成22年の合併以降10年間で職員111人の削減目標を掲げ、事務の統廃合縮小や業務の民間委託など計画的に職員数の削減を進めてきたことによるものである。市民サービスの質の向上を実現するために、人件費などへの影響を考慮した適正な職員定員管理を進める。

物件費の分析欄

令和5年度は前年度比0.3ポイントの増となっている。物件費に係る経常収支比率が類似団体平均よりも高い傾向にあるのは、行財政健全化の取り組みを進め、業務の民間委託化を推進したことや、休日・夜間急患センターやごみ処理業務、し尿処理業務、火葬業務について、指定管理者や業務委託を活用しているためである。

扶助費の分析欄

令和5年度は前年度比1.0ポイントの増となっている。類似団体平均より高い傾向にある要因は、全国平均と比較して年少人口比率が高く、私立保育所などに対する施設型給付事業費などの児童福祉費が多額となることなどが影響している。今後も、扶助費の抑制につながる予防施策等を継続して実施していく。

その他の分析欄

令和5年度は前年度比0.3ポイントの減となっている。高齢化等に伴い、国保、介護、後期等をはじめとした特別会計への繰出金が、大きな割合を占めている。(令和1:39.8億円、令和2:40.4億円、令和3:40.7億円、令和4:42.1億円、令和5:42.9億円)特別会計への繰出金については、今後も多額の経費を要することが予想されるが、引き続き利用者負担の適正化を図りながら、普通会計の負担額を減らしていくよう努める。

補助費等の分析欄

令和5年度は前年度と同水準である。類似団体平均よりも低い傾向にあるのは、合併によりごみ処理業務、し尿処理業務、火葬業務、消防業務を市で直接行っており、合併前に構成していた一部事務組合に対する負担金がないためである。

公債費の分析欄

令和5年度は前年度比1.7ポイントの増となっている。運動公園及び新庁舎の整備といった大型事業の実施に伴う地方債元金の償還が開始されたことから、公債費は増加したものの、計画的な地方債の発行により類似団体平均より低い水準で推移している。

公債費以外の分析欄

令和5年度は前年度比1.7ポイントの増となっており、類似団体と比較すると、2.1ポイント下回ることとなった。これは、扶助費と物件費が類似団体平均よりも高い一方で、人件費や補助費等の経費の抑制が図られているからである。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は、運動公園整備事業(約23億5千万円減)が減となった一方で、新庁舎整備事業(約19億3千万円増)やふるさと応援寄附推進事業(約2億6千万円増)などにより、前年度から増加しており、類似団体平均を上回った。民生費は、住民税非課税世帯等支援給付事業(約7億7千万円増)や住民税非課税世帯等給付事業(約3億7千万円増)などにより、前年度から増加した。衛生費は、新型コロナウイルスワクチン接種事業(約4億4千万円減)やごみ焼却処理施設屋根改修事業(約1億3千万円減)などにより、前年度から減少した。消防費は、防災行政無線等機能強化事業(約1億1千万円増)や消防施設空調設備改修事業(約7千万円増)などにより、前年度から増加した。教育費は、教育情報システム整備事業(約3億3千万円増)や深江小学校校舎大規模改造事業(約2億4千万円増)などにより、前年度から増加した。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費は、平成22年の合併以降10年間で職員111人の削減目標を掲げ、事務の統廃合縮小や業務の民間委託など計画的に職員数の削減を進めてきたことにより、類似団体の中で最も低い値となっている。普通建設事業費(うち新規整備)は、運動公園及び新庁舎の整備といった大型事業を実施したことから、類似団体平均を上回っている。公債費は、運動公園及び新庁舎の整備等に伴う地方債元金の償還開始により増加したものの、地方債の計画的な発行により類似団体平均より低い水準で推移している。補助費等は、合併によりごみ処理業務、し尿処理業務、火葬業務、消防業務を市で直接行っており、合併前に構成していた一部事務組合に対する負担金が無いことが他団体と比較して低くなっている要因である。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

令和5年度の財政調整基金残高は、前年度の決算上生じた剰余金の増加などにより、約12億6千万円を積み増すことができたため、標準財政規模に対する割合は、4.72ポイントの増となった。実質収支については、形式収支の減などにより、前年度より約11億4千万円減少し、標準財政規模に対する割合は5.33ポイントの減となった。実質単年度収支については、約19.3億円減少し、標準財政規模に対する割合は8.95ポイントの減となった。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

一般会計については、決算額は歳入・歳出ともに増となったものの、市有地売払収入(約9千万円減)といった一般財源が減少したことなどもあり、歳出の増加幅が歳入の増加幅を上回ったことから、黒字額が大幅に減少した。その他の会計についても赤字額は無いため、連結実質赤字比率は発生していない。今後とも、引き続き健全な財政運営に努めていきたい。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

令和5年度の元利償還金は、新庁舎整備事業、運動公園整備事業、通信指令施設更新事業(いずれも令和3借入)などの地方債元金の償還が開始されたことなどから、前年度から39百万円増加した。その結果、実質公債費比率分子全体は56百万円増加した。今後も運動公園及び新庁舎の整備といった大型事業に伴い借り入れた地方債の償還が開始される予定であるが、中期財政計画に沿った地方債の計画的な発行、公債費の抑制に努めることで、元利償還金は30億円台で推移する見込みである。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

令和3年度から令和5年度にかけて運動公園や新庁舎などの整備に伴う地方債発行額が増大することから、令和元年度に約4.4億円の繰上償還を行ったことで、令和元年度から将来負担比率の分子はマイナスとなっている。令和5年度については、新庁舎整備事業(約28.4億円)、運動公園整備事業(約2.0億円)に係る借入などにより地方債現在高は増加したが、ふるさと応援基金の増などにより充当可能基金が増加しているため、将来負担比率の分子は年度ごとに改善している。運動公園及び新庁舎の整備といった大型事業の実施により、地方債現在高は増加しているが、今後も中期財政計画に沿った地方債の発行、公債費の抑制に努め、適正な財政運営を確保する。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)・前年度の歳入歳出の決算上生じた剰余金の増加などにより、財政調整基金に1,260百万円を積み立て、さらに、将来の公債費の増加に備えるため、減債基金に678百万円を積み立てたことなどにより、基金全体としては1,846百万円の増となった。(今後の方針)・財政調整基金と公共施設等総合管理推進基金を合算した基金残高は、運動公園及び新庁舎などの大型事業により基金の取崩しを行うものの、69億円程度を維持していく。

財政調整基金

(増減理由)・決算剰余金などの積み立てによる増加。・運動公園及び新庁舎の整備といった大型事業の実施により、昨年度に引き続き、投資的経費は約90億円程度と高水準で推移しているが、地方債を最大限活用したことなどから、令和5年度に1,260百万円積み立てることができた。(今後の方針)・公共施設の長寿命化対策及び扶助費の増により、財政調整基金は減少していくことが想定されるが、中期財政計画に沿った財政運営を行い、基金残高は毎年度55億円程度を維持していくことで、経済情勢などによる突発的な事象や災害等へも対応できる財源を確保する。

減債基金

(増減理由)・将来の公債費増への備えとして572百万円を積み立てたことによる増加。・普通交付税(再算定)により交付された臨時財政対策債償還基金費98百万円を積み立てたことによる増。・一般会計及び住宅新築資金等貸付特別会計の運用益3百万円を積み立てたことによる増加。・住宅新築資金等貸付特別会計の決算剰余金5百万円を積み立てたことによる増加。(今後の方針)・市債の償還及びその適正な管理に必要な財源を確保するとともに、臨時財政対策償還基金費分については、臨時財政対策債の償還に合わせて適宜取崩しを行う。

その他特定目的基金

(基金の使途)・ふるさと応援基金:ふるさと応援寄附を活用し、寄附者の思いを個性豊かで活力あるまちづくりに資する・公共施設等総合管理推進基金:庁舎、学校、コミュニティセンター等の公共建築物及び道路、橋りょう等のインフラ施設の建設、改修及び除却の計画的な推進・再生可能エネルギー推進基金:発電設備の維持管理、改修等又は新たな再生可能エネルギー関連事業等(増減理由)・ふるさと応援基金:1,633百万円の取崩しを行ったものの、寄附額の増加により2,495百万円を積み立てたことによる増加・公共施設等総合管理推進基金:公共施設の改修等に活用するため999百万円を取り崩したことによる減少・再生可能エネルギー推進基金:発電設備の維持管理等に伴い16百万円の取崩しを行ったものの、24百万円を積み立てたことによる増加(今後の方針)・ふるさと応援基金:ふるさと応援寄附金の動向に応じて、積立を行いながら、寄附者のふるさと糸島への想いを反映し、個性豊かで活力あるまちづくりに資する事業への取崩しを行う。・公共施設等総合管理推進基金:公共建築物、インフラ施設の整備等に合わせて適宜取崩しを行うとともに、必要に応じて将来の財政需要に備えた積立を行う。・再生可能エネルギー推進基金:今後も小水力発電所の売電収入等を基金で管理し、再生可能エネルギーの推進に活用する。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は、年々増加傾向にあったが、令和5年度において新庁舎等の建設など新規資産の取得を行ったことにより、資産構成が若返り、類似団体平均値を大きく下回った。引き続き、老朽化が進んだ公共施設等に対しては、公共施設等総合管理計画に基づき、計画的な統廃合、改修等を行っていく。

債務償還比率の分析欄

財政調整基金やふるさと応援基金などの充当可能基金残高の増により、債務償還比率は、類似団体平均値を大きく下回っている。次年度も同様に充当可能基金残高の増が見込まれること、また地方債現在高の減少等により、債務償還比率は微減する見込みである。今後も、地方債については、交付税措置があるものに限るなど計画的な借入を行っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

増加傾向にあった有形固定資産減価償却率は今年度減少に転じ、将来負担比率は令和元年度以降算定がない状況である。令和5年度において新庁舎及び運動公園の整備といった大型事業完了に伴い、有形固定資産減価償却率は大幅に減少した。今後も引き続き、老朽化が進んだ公共施設等に対しては、公共施設等総合管理計画に基づき、計画的な統廃合、改修等を行っていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率及び実質公債費比率は、類似団体平均値を下回っており、健全な状態にある。これは、行財政健全化計画に基づく取組みの効果が表れたものと考える。令和5年度においては、令和2年度借入れの臨時財政対策債、令和3年度借入れの通信指令室更新事業等の償還開始に伴う元利償還金の増加等により、実質公債費比率は0.1ポイント上昇した。今後は、標準税収入額等の増加は見込まれるものの、公共施設等総合管理計画に基づく地方債残高、公債費の増加も予定され、将来負担比率及び実質公債費比率の増加が見込まれる。引き続き、行財政健全化計画に基づく取組みを通じて健全な財政運営に努める。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

施設類型別の有形固定資産減価償却率は、昨年度までは類似団体平均値を上回っていた学校施設についても、順次大規模改造事業を実施しており、今年度類似団体平均値を下回った。しかしながら、全ての施設類型において、有形固定資産減価償却率は横ばい又は増加傾向にある。引き続き、老朽化した公共施設等に対しては、公共施設等総合管理計画に基づき、計画的な統廃合、改修等を行っていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

施設類型別の有形固定資産減価償却率は、消防施設と庁舎を除き、類似団体平均値を上回っている。特に、一般廃棄物処理施設、体育館・プール、福祉施設の有形固定資産減価償却率は80%を上回る水準にある。これは、消防施設は随時更新を行っているのに対し、その他の施設は公共施設等総合管理計画に基づく大規模改修を予定している施設のほか、統廃合の予定を踏まえ、耐用年数経過後の廃止・除却を待つ施設を含むことによる。なお、類似団体においても廃止・除却を待つ施設を多数保有していると思われるが、本市においては分母となる有形固定資産額が類似団体と比較して少額であることから、これらの施設が本市の有形固定資産減価償却率に与える影響はより顕著であると考える。一方、庁舎については新庁舎整備事業を行ったことにより、有形固定資産減価償却率が大きく減少した。他の施設類型についても、公共施設等総合管理計画に基づき、引き続き計画的な公共施設等の統廃合、改修等を行っていく。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

本市では、平成28年度決算から「統一的な基準による財務書類」を作成しており、分析は一般会計等のみ行っている。一般会計等における資産総額は、前年度比で4,672百万円増加した。主な増加要因は、運動公園の完成や新庁舎整備及び各小中学校の大規模改造事業等により有形固定資産が3,389百万円増となったことや、財政調整基金などの増加に伴う流動資産(基金)が1,932百万円増加したことが挙げられる。また、一般会計等における負債総額は、前年度比で2,017百万円増加した。主な増加要因は地方債の増であり、2,115百万円増加した。これは、新庁舎の整備や小中学校の大規模改造事業といった大型事業をはじめとする公共事業に係る地方債を借り入れたことによる。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

本市では、平成28年度決算から「統一的な基準による財務書類」を作成しており、分析は一般会計等のみ行っている。一般会計等においては、経常費用(39,061百万円)が前年度比で1,165百万円増加したことに伴い、純経常行政コストは1,117百万円、純行政コストは1,098百万円増加した。ふるさと応援寄附金の増加に伴う業務委託料の増などはあるものの、私立保育所等に対する施設型給付費2,206百万円を委託料(物件費等)から扶助費(社会保障給付)へと変更したことなどに伴い、物件費等は1,785百万円減少した。一方で、少子高齢化などに伴う社会福祉関係経費の膨らみに加え、前述の施設型給付費の変更、また住民税非課税世帯等支援給付事業といった扶助費の増加に伴い、社会保障給付費は2,605百万円増加しており、これらのことが経常費用増加の主な要因となっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

本市では、平成28年度決算から「統一的な基準による財務書類」を作成しており、分析は一般会計等のみ行っている。一般会計等においては、財源(40,569百万円)が純行政コスト(37,826百万円)を上回ったことから、本年度差額は2,743百万円となり、純資産残高は2,655百万円増加した。本年度差額は、前年度比で583百万円減少した。本年度差額の減少要因は、純行政コスト及び財源が前年度比でいずれも増加したものの、純行政コストの増加幅(1,098百万円)財源の増加幅(516百万円)を上回ったことである。純行政コストの増加要因は「2.行政コストの状況」に記載のとおりである。財源の主な増加要因は、社会資本整備総合交付金や価格高騰緊急支援給付事業の減などに伴い国県等補助金が540百万減少したものの、市税や寄附金等の増加による税収等が1,056百万円と大きく増加したことが挙げられる。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

本市では、平成28年度決算から「統一的な基準による財務書類」を作成しており、分析は一般会計等のみ行っている。一般会計等における業務活動収支は、前年度比で755百万円減少した。主な減少要因は、業務支出及び業務収入がいずれも増加したものの、業務支出の増加幅(1,329百万円)が業務収入の増加幅(574百万円)を上回ったことである。これは、市税やふるさと応援寄附金などが増加したものの、クリーンセンター埋立飛灰再資源化処理事業やふるさと応援寄附金の増に伴う返礼品に係る支出が増加したことなどによる。一般会計等における投資活動収支は、前年度比で719百万円減少した。主な減少要因は投資活動支出の増であり、1,231百万円増加した。これは、新庁舎整備や各小中学校の大規模改造といった大型事業をはじめとする公共事業に係る事業費が増加したことによる。一般会計等における財務活動収支は、前年度比で83百万円増加した。主な増加要因は財務活動収入の増であり、107百万円増加した。これは、新庁舎の整備や小中学校の大規模改造事業といった大型事業をはじめとする公共事業に係る地方債の借入額が増加したことによる。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

①住民一人当たり資産額及び②歳入額対資産比率は、類似団体平均値を下回っている。分母となる人口及び歳入総額が類似団体平均値を上回っている一方で、資産合計が類似団体平均値を下回っており、団体規模に比して資産合計が少ない。その理由としては、合併前から施設の共同利用を実施しており余剰施設が少ないこと、固定資産台帳の整備に当たり、取得価額が不明だったため備忘価額1円で評価した道路等のインフラ資産が多いこと等が考えられる。③有形固定資産減価償却率は、年々増加傾向にあったが、令和5年度において新庁舎等の建設など新規資産の取得を行ったことにより、資産構成が若返り、類似団体平均値を大きく下回った。引き続き、老朽化が進んだ公共施設等に対しては、公共施設等総合管理計画に基づき、計画的な統廃合、改修等を行っていく。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

④純資産比率は、令和4年度に引き続き、新庁舎や運動公園整備などに伴い、分母となる資産合計が大きく増加したことにより、前年度から減となった。また、⑤将来世代負担比率は、上記事業に伴う地方債の借入が令和5年度に増大したことから、前年度から増となったものの、依然として類似団体平均値を下回っている。現状においては、類似団体と比較すると将来世代の負担は少ない状況にあるが、今後も公共施設等総合管理計画に基づく地方債借入が予定されているため、地方債については、交付税措置があるものに限るなど、計画的な借入を行っていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

⑥住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を大きく下回っている。これは、人口増加が続いていることや、行財政健全化計画に基づく取組みの効果が表れたものと考える。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

新庁舎整備や小中学校の大規模改造事業などの地方債の借入に伴い負債額が増加したことで、7住民一人当たり負債額は、令和5年度に増となったものの、依然として類似団体平均値を大きく下回っている。また、上記大型事業の実施に伴う投資活動支出の大幅増により、投資活動収支が大きくマイナスとなったことに伴い、⑧業務・投資活動収支は前年度から激減しており、類似団体平均値を大きく下回った。これは、大型事業の実施に伴う一時的な結果であり、当該事業終了後は、例年までの数値に戻り推移していく見込みのため、今後も行財政健全化計画に基づき、引き続き、計画的な取組みを行う。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

⑨受益者負担比率は、類似団体平均値を下回っている。また、住民1人当たりで換算すると、分母となる経常費用、分子となる経常収益は、いずれも類似団体平均値を下回る。よって、⑨受益者負担比率が低いのは、経常収益が低いことによると考える。今後、適正な受益者負担の実現に向けて、公共施設の使用料等の見直しについて検討を行う。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,