北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

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地方財政ダッシュボード

静岡県下田市の財政状況

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

令和5年度の単年ベース及び3か年平均とも財政力指数が0.46となり、令和4年度と比較して増減は生じなかった。近年では、平成25年度に単年ベースで0.49を記録してから増加傾向にあったが、平成29年度をピーク(0.507)に減少傾向にある。少子高齢化や大都市圏への人口流出による人口減少が顕著であり、税収の減少を筆頭に基準財政収入額が減少する要因である人口減少に対して、子育て支援や移住支援等の人口減少施策を実施し、歳入の確保に努め、健全な財政運営に努めていく必要がある。

経常収支比率の分析欄

平成30年度より庁舎建設、令和元年度より中学校統合の大型事業が実施されており、平成30年度の90.5%がピークとなっていた。その後改善傾向にあったが、令和5年度は令和4年度の83.3%から85.7%と2.4ポイント悪化した。これは、緊急防災・減災事業債や過疎対策事業債等の元金償還開始による公債費の増により、分子である経常一般財源が増加したことによるものであると分析する。今後は引き続き交付税措置が有利な起債を借り入れる等、将来負担を可能な限り減らし、事業の見直しによる歳出削減、歳入の確保を強化し、経常収支比率の回復に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口減少が顕著であり、毎年400人程度減少しており、毎年2%以上の減少が続いているため、分母の減少に歯止めがかからない。庁舎建設等の大型事業のほかに焼却場の長期包括委託等の事業が実施されており、物件費が増加している。そのため、人口減少施策とともに、今後想定される大型事業による物件費の内容をより詳細に精査し、歳出削減を積み重ねていく必要があるが、物価の高騰により今後も継続的に増加していくことが見込まれる。

ラスパイレス指数の分析欄

令和元年度の99.4をピークに若干の改善傾向にあるが、類似団体内平均を1.8ポイント上回っている。小規模自治体であり異動及び新規採用職員の年齢層等により職員数の多い自治体と比べ数値が変動しやすい傾向にあるが、今後は全国市平均や類似団体内平均と比較しながら適切な数値の維持を図っていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

分母となる人口が、過疎地における少子高齢化、人口流出の影響を受け、400人/年程度の割合で大幅に減少している。令和5年度は職員減少率が人口減少率を上回ったため、前年度に比べて微減となった。人口は少ないが、市であることによる福祉事務所の設置等、人口同規模の町村に比べ、職員が増える固定要素もあり、今後は増加傾向となることが見込まれる。職員数については定員適正化計画に基づき、適正な人員の確保に努めていく。

実質公債費比率の分析欄

令和元年度の7.0%をピークに、令和3年度には5.9%まで改善したが、令和5年度は6.8%で、令和4年度の6.2%より0.6ポイント悪化した。これは、緊急防災・減災事業債や過疎対策事業債等の償還開始による元利償還金の増に伴う分子の増及び臨財債発行可能額の減等に伴う分母の減によるものと分析する。平成29年度より始まった過疎対策事業債の借入と、令和5年度に着工した庁舎建設などの大型事業に伴う借入などにより、今後も公債費の増が見込まれるため、事業を精査し、借入額の抑制を図る必要がある。

将来負担比率の分析欄

令和元年度の66.1%をピークに減少傾向で、令和5年度は46.8%と改善している。主な原因としては、下水道事業債等の償還完了に伴う公営企業債等繰入見込額の減及び財政調整基金の積立増やふるさと納税寄附の増加による特定目的基金の積立増に伴う充当可能基金の増により、数値の増要因を減要因が上回ったものであると分析する。今後は、庁舎建設等の大型事業が予定されており、地方債残高の増加が避けられないため、借入れにあたっては、条件の有利な地方債の選択等の配慮を行い、将来負担の増加率の低減を検討していく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

類似団体内平均を1.5ポイント下回り、昨年度と比較しても0.1ポイント減少した。これは予算規模の増に伴う分母の増や他費目の増による分子の減によるものである。定員適正化計画や、民間事業者への業務委託等を検討し、適正な人員管理に努めていく。

物件費の分析欄

類似団体内平均を1.3ポイント上回り、昨年度と比較しても0.7ポイント増加した。主な要因としては、ふるさと納税に係るシステム使用料や新庁舎建設設計業務委託料の増に伴い数値が増加したものと分析する。今後も大型事業の進捗により、物件費の増加が予想されると共に、公共施設等総合管理計画に基づく、既存施設の更新・解体関係費用等による経費が発生していくことが予想される。

扶助費の分析欄

類似団体内平均を2.9ポイント下回っているものの、昨年度と比較して0.3ポイント増加した。主な要因としては、民間保育所運営費の増等によるものと分析する。令和2年度から令和5年度まで比較的同程度の水準に落ち着いていることから、今後の変動に注視していく。

その他の分析欄

類似団体内平均を0.2ポイント上回ったものの、昨年度と比較して0.1ポイント減少した。主な要因としては、国民健康保険事業特別会計繰出金の減である。本項目は、各会計への繰出金などが多くの割合を占めているため、今後も一般会計からの繰出金を減少させるため、各会計において料金の値上げ等により、健全化等を検討していく。

補助費等の分析欄

類似団体内平均を1.1ポイント下回ったものの、昨年度と比較すると0.6ポイント増加した。主な要因としては、コロナ等により規模を縮小していた市の観光催事に対する補助をコロナ以前の水準に徐々に戻していくため増加したことによるものと分析する。今後も行財政改革の一環として行っている補助金交付事業評価を引き続き実施し、評価基準や視点の精査、事業効果の見極めについて、更なる整理を進めていく。

公債費の分析欄

類似団体内平均を4.3ポイント下回っているものの、昨年度と比較して、1.0ポイント増加した。主な要因としては、令和2年度同意デジタル無線の元金償還開始に伴うものと分析する。今後も、予定されている大型事業について事業の精査、過疎対策事業債など有利な財政措置の地方債を活用し、公債費の増大を最小限に抑制するように努める。

公債費以外の分析欄

類似団体内平均を4.0ポイント下回ったものの、昨年度と比較して1.4ポイント増加した。主な要因としては、法人事業税交付金等の増加による分母の増はあったが、それ以上に物件費及び補助費等の分子が増加したことで決算規模そのものが増えたことによるものと分析する。今後も大型事業が予定されており、普通建設事業及び物件費の増加が見込まれる。そのため、歳出の取捨選択等のスリム化と一般財源の確保に努める必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

【総括】少子高齢化・過疎化の影響は著しく、人口が400人/年程度減少しており、住民一人当たりのコストの上昇の主因となっている。これについては今後も続く見通しで、人口減少施策に取り組んでいくことが重要な課題である。【総務費】令和4年度と比べて増加しているのは、庁舎建設関連事業の本格化によるものである。庁舎建設事業は令和8年度の開庁を目指し今後も継続していく中で、総務費の増大は避けられない状況であるため、内容精査及び財源確保に努める。【農林水産業費】令和2年度を境に徐々に増加しており、これは漁港施設の改良工事や海岸保全施設整備事業の計画策定業務委託料の増等によるものである。今後工事等を控えているため、さらに増加する見通しである。【商工費】令和4年度に引き続き数値が減少している。これは、新型コロナウイルス感染症の影響で停滞した地域経済の活性化のための観光協会等への各種補助金や協力金の減によるものと分析する。【教育費】令和3年度に完了した中学校再編整備に関連する旧中学校の解体工事及び市民スポーツセンターの照明工事等により令和4年度に比べ増となった。今後は児童及び生徒数の減少に伴い、長期的な数値は減少していくものと見込まれる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

【総括】少子高齢化・過疎化の影響は著しく、人口が400人/年程度減少しており、住民一人当たりのコストの上昇の主因となっている。これについては今後も続く見通しで、人口減少施策に取り組んでいくことが重要な課題である。【扶助費】令和2年度より増加傾向にある。分母である人口の減少に加えて令和5年度は障害福祉サービス費及び民間保育所運営費の増に伴い増加したものと分析する。【普通建設事業費】更新整備の大幅な増加は旧中学校を活用した庁舎建設工事の本格開始に伴う工事費等の増によるものとなっている。今後は庁舎の新築棟を整備することから、来年度以降新規整備が大幅に増加することが見込まれる。【積立金】令和4年度に比べて令和5年度は増加した。主な要因として、令和3年度に実施した臨時財政対策債償還基金分による減債基金への積立を令和5年度にも実施したことや、ふるさと応援寄附金の増加による基金への積立増加等が挙げられる。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

実質収支は継続的に黒字であるが、過去5年間で2番目に小さい割合となり、実質単年度収支については令和元年度以来の赤字となった。これは令和2年度から令和4年度にかけてのコロナ禍の受診控え等に伴う民生費及び衛生費の未執行額が多かったことに起因し、令和5年度にコロナが5類に移行し、歳出予算規模が大きく増加したことから、単年度収支、実質単年度収支とも赤字になったものと分析する。今後は庁舎建設及び広域ごみ処理等の大型事業に加え、コロナ以前の生活水準への回帰、物価の高騰等により、財政調整基金を含めた基金の大幅な取り崩しが必要と想定され、引き続き中長期的な視点での行財政改革を進める必要があると思われる。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

一般会計について、継続して黒字となったが過去5年の中で2番目に小さい黒字額となった。これは令和5年度にコロナが5類に移行し、歳出予算規模が大きく増加したことから、形式収支・実質収支が大きく減少したものと分析する。また、下水道事業会計においては、令和元年度に公営企業に移行し、5年目の運営をしていく中で、引き続き黒字額を確保している。国民健康保険事業特別会計については、黒字ではあるが過去5年間で1番小さい黒字額となった。これは人口減少及び社会保険の被保険者適用拡大により、被保険者数が減少したことから歳入が減少したことが主な要因であると分析する。今後市庁舎建設、広域ごみ処理施設整備事業が本格化していくため、引き続き同程度の水準を保つことができるよう、公共施設等総合管理計画に基づき、既存施設の更新・解体等の検討を行い、歳出規模を減少させるよう進めていく。また、水道事業会計や下水道事業会計、国民健康保険事業特別会計について、使用料や保険料の料金改定を行い、歳入規模を増加させるよう検討していく。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

公営企業債の元利償還金に対する繰入金や組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等は引き続き減少傾向である。しかしながら、令和2~3年度にデジタル無線整備事業及び統合中学校整備事業、令和5年度から庁舎移転事業という大規模事業の財源に起債を充てており、さらに今後広域ごみ処理施設整備事業が予定されていることから、元利償還金の増加は避けられない状況である。平成29年度の過疎地域の指定に伴う過疎対策事業債の借入開始に伴い、元利償還金は増加すると考えられるため、交付税措置が有利な借入れの選択、徹底した事業精査を行い、その他の借入れを抑制することにより分子の増大抑制を図っていく。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高は、平成29年度に過疎団体に指定され過疎対策事業債の借入が増加していることにより地方債残高及び基準財政需要額が増加している。加えて庁舎建設事業、広域ごみ処理施設建設事業等の大型事業を予定しており、令和4年度は減少したが令和5年度は上昇に転じ、今後も増加する見通しである。また、事業執行に当たっては基金の充当も考えている。ふるさと納税の全国的な浸透による寄附の増加等により、充当可能基金は毎年度増加しているが、安定的な歳入とは言えず、寄附額が頭打ちとなった場合は充当可能財源等も減少することとなるため、将来負担比率の分子は大幅に増大するものと見込まれる。今後は起債償還額に対する新規借入額の割合を抑制することにより早期の地方債残高の縮小に取組むよう努めていかなくてはならない。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)ここ数年増加しており、理由としては次の2点が挙げられる。1点目は、平成29年度より過疎地域に認定されたため、過疎対策事業債の発行が可能となった。過疎対策事業債の発行が増えることによる将来負担の増を抑制するため、過疎対策事業債発行額のうち、普通交付税の基準財政需要額に算入されない約3割相当額を減債基金に積み、償還原資とすることとし、令和3年度と令和5年度に追加交付となった普通交付税の一部を減債基金に全額積み立てたため、減債基金が増額となっている。2点目は、ふるさと応援基金の積み立てが取り崩しの1.5倍程度の額となっており、ふるさと応援基金が増額となっている。(今後の方針)今後庁舎建設や広域ごみ処理施設整備等の大規模事業その他の市有施設の維持修繕に費用が重なっていくことが想定されるため、財政調整基金の積み立てと取り崩しのバランスに注意しつつ、財政調整基金と減債基金の残高確保を目指していく。

財政調整基金

(増減理由)前年度に引き続き増加している。これはコロナ禍により民生費や衛生費で事業の執行残が多くなり繰越金が増加したため財政調整基金に積み上げる金額が増加している。また、災害等による臨時的な支出も少なかったため、結果的に大きく増加している。(今後の方針)引き続き緊張感をもって財政運営に努め、10億円を維持していくことを目指していく。

減債基金

(増減理由)平成29年度より発行可能となった、過疎対策事業債の発行額が増えることにより、将来負担が増加するため、それを抑制する目的で、発行額の3割を積み立てて償還原資としている。また、令和4年度は該当がなかったが、令和5年度は令和3年度同様に追加交付となった普通交付税の一部を減債基金に全額積み立てたため、前年度よりも残高が大きく増加した。(今後の方針)今後も過疎対策事業債の借入れに合わせて積み増しし、過疎対策事業債の償還に合わせて取崩しを行っていく。

その他特定目的基金

(基金の使途)下田市庁舎建設基金・・・・・・市庁舎を建設するために必要な資金を積み立てるための基金下田市ふるさと応援基金・・・・下田市ふるさと応援基金条例に資することを目的とした事業に要する経費に充てるための基金下田市子育て支援基金・・・・・子育て支援活動の推進を図るための基金下田市景観まちづくり基金・・・・景観まちづくり活動の推進を図るための基金下田市ほのぼの福祉基金・・・・高齢者福祉活動の推進を図るための基金(増減理由)下田市庁舎建設基金・・・・・・事業の本格的な開始により、取崩額が14百万円増加したことによる。下田市ふるさと応援基金・・・・寄附額の増により、基金積立金が取崩額を15百万円上回ったことによる。下田市子育て支援基金・・・・・寄附額の増により、基金積立金が取崩額を23百万円上回ったことによる。下田市景観まちづくり基金・・・・寄附額の増及び事業への充当金額が3百万円減少したことによる。下田市ほのぼの福祉基金・・・・寄附額の増により、基金積立金が取崩額を9百万円上回ったことによる。(今後の方針)下田市庁舎建設基金については、令和8年度の全面開庁を目標とした庁舎建設事業の財源として、計画的な積み立て・取り崩しを行っていく。ふるさと応援基金等については、積立額の増額に努め、事業執行の財源として計画的に取り崩しを行っていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率については、類似団体平均値を大きく上回っている。これは、平成半ばの頃に財政緊縮措置として固定資産の更新を先送りしたことに起因するものである。令和4年度との比較では数値が1.5ポイント悪化しており、これは市民会館や体育館の修繕を、その他の施設の減価償却が上回ったものと分析する。今後、新庁舎の建設や保育所の認定こども園への一園化に伴う整備改修、その旧保育所施設等の解体等が見込まれているが、どの程度の低下に転じるかは不透明である。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率については、類似団体平均とほぼ同じである。普通交付税の増加に伴う分母の増等の要因で低下傾向にあったが、令和3年度で下げ止まりし、令和4年度との比較では37.5ポイント悪化している。これは緊防債及び過疎債の本償還開始等によるものと分析する。また今後も、過疎債の元本償還開始や庁舎の整備などの大規模事業、また年々激甚化していく大雨などの災害に備えて緊自債を活用する防災インフラ整備などが控えているため、分子の増に伴い上昇していく見通しである。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は46.8ポイントであり、前年比で△2.1ポイントとなっている。緊防債等地方債の新規借入れによる将来負担額の増を、一部事務組合負担等見込額や下水道事業の公営企業債等繰入見込額の減、また基金等の増による充当可能財源の増が上回ったことによるものであると分析する。大規模事業を過疎債をはじめとした地方債に頼らざるを得ない当市において将来負担比率は類似団体より依然として高い傾向にあり、今後控える庁舎建設事業等を勘案すると、さらに上昇することが見込まれている。また、有形固定資産減価償却率については、庁舎建設事業が完了すると大きく低下する可能性があるが、図書館等その他の公共施設も老朽化が進んでおり、どの程度の低下に転じるかは不透明である。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率については、低下傾向にあったが、令和4年度は上昇に転じ、令和5年度はさらに0.6ポイント上昇した。これは、緊防債や過疎債等地方債の元利償還金の増による分子の増及び臨時財政対策債発行可能額の減による分母の減が要因であると分析する。一方で将来負担比率については、組合負担等見込額や公営企業債等繰入見込額の減及び基金等充当可能財源の増により前年比で△2.1ポイントとなっている。しかしながら、類似団体と比較しても依然として高い傾向にあり、今後も過疎債等の借入の影響で増加する見通しである。それに伴い、実質公債費比率も比例して上昇する見通しであると分析する。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

公営住宅については特に有形固定資産減価償却率が高いが、令和元年度ごろから徐々に大規模改修を行っており、令和5年度においても引き続き数値が改善した。その他施設全体を見ると、道路では類似団体に比べて有形固定資産減価償却率が高くなっている。これは、平成10年代ごろより行っていた緊縮財政の影響で大規模な維持管理事業を十分に行えていなかった影響が顕在化しているものと思われる。現在も十分に予算措置できているとはいえず、今後も上昇するものと思われる。一方で、認定こども園・幼稚園・保育所や、近年計画的に大規模改修や長寿命化を行うことができている橋りょう・トンネル及び港湾・漁港、統廃合によって老朽化施設数が減少した公民館については、類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が同程度か低い数値となっている。なお、港湾・漁港については、結果として一人当たり有形固定資産(償却資産)額が類似団体と比べて高くなっている。また、認定こども園・幼稚園・保育所については、近年中の1園化が予定されているため、それに伴う整備改修を行うことで、有形固定資産減価償却率の減少と一人当たり面積の増加が見込まれるものである。また、学校については令和3年度に完了した統合中学校整備事業による大規模改修の影響で有形固定資産減価償却率が大きく改善したが、小学校分については依然高くなっている。4校あった中学校を1校に集約したため一人当たり面積については大きく減少した。子どもの数の減少により、今後は小学校においても施設の集約化についての議論が生じることが思料される。一人当たり面積について、公営住宅及び公民館は類似団体に比べて数値が低いが、これは公営住宅については整備当時に持家の保有率が比較的高いことでそれほど多くの公営住宅を整備してこなかったこと、公民館については統廃合により施設数自体が減少したことに起因していると思われる。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

庁舎の有形固定資産減価償却率について、令和8年度の完全移転に際し、先行移転を行わない部署が属する庁舎に対する耐震補強工事を令和3年度に実施したことから一時数値が改善したが、その後数値は悪化した。しかしながら、新庁舎建設にかかる予定変更はないため、整備完了後は数値の大幅な改善が見込まれる。また、市民会館については、令和4年度から大規模改修を実施していることから、前年に引き続き数値は改善した。その他の施設では、一般廃棄物処理施設及び図書館の有形固定資産減価償却率が類似団体に比べて高くなっている。一般廃棄物処理施設については昭和57年に建築したじん芥処理場の老朽化が進んでいることから、周辺町との合同で広域整備を行うことも計画されており、広域での大規模整備が実現した場合は庁舎と同じく改善が見込まれる。なお、同じく周辺1町と広域化している汚泥処理施設については平成18年度築で比較的新しい状態である。図書館については、昭和50年築及び平成11年度に大規模改修を行っており、新庁舎建設に伴う移転及び整備の意見はあるが、具体的計画は立っていないことから有形固定資産減価償却率はさらに高くなる見通しである。一方、常備分については周辺4町と一部事務組合を構成し比較的計画的に施設の更新を行うことができていて、かつ非常備分についても計画的に詰所等の更新や老朽化施設の統合及び廃止を行うことができている消防施設や、平成3年度から6年度に建設し大規模改修等も計画的に行うことができている体育館・プールについては類似団体と比べて同程度か低い水準を保っている。体育館・プールについては共に1施設ずつしか所有していないにもかかわらず類似団体で保有している団体が少なく、分子となる人口も減少しているため、一人当たり面積も類似団体に比べて大きくなっている。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等における資産の状況は微増である。これは、新庁舎建設にかかる工事が本格化したことによる固定資産の増加が減価償却を上回った結果によるものであると思われる。交付税の増等に伴う財政調整基金及び減債基金の増も全体の増加の要因となっている。負債の増加の要因は、同じく新庁舎建設にかかる工事が本格化したことによる地方債の増加(前年比+602百万円)によるものである。一般会計等を除いた全体における資産及び負債の状況はいずれも減である。これは、下水道事業における固定資産の減価償却が進んだこと及び地方債等の減少が主な理由である。全体を除いた連結における資産及び負債の状況も減である。これは一部事務組合下田地区消防組合における当市の按分割合が変更(31.50%→30.32%)になったことのほか、資産については一部事務組合下田メディカルセンターの旧病院施設の解体による固定資産の減少や一部事務組合南豆衛生プラント組合の施設及び物品の減価償却が進んだこと、負債については一部事務組合下田メディカルセンターの旧病院施設の解体によるその他負債(長期前受金)が減少したことが主な理由である。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等における行政コストの状況は、経常収益が増加し、経常費用は減少したことから令和4年度と比較して減となっている。経常収益の増については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(生活支援・物価高騰等分)の活用が終了したことによる学校給食費の増加(+39百万円)によるものと分析する。経常費用の減については、物件費(△268百万円)や補助金等(△211百万円)が減少となっており、これは5類移行に伴う新型コロナウイルス関連事業の縮小や令和4年度に実施された非課税世帯等臨時給付金や価格高騰緊急支援給付金の減等によるものであると分析する。全体における純経常行政コスト及び純行政コストは共に減となっている。これは共に国民健康保険事業における、療養給付費負担金の減少(△198百万円)が主な理由である。全体を除いた連結における純経常行政コスト及び純行政コストは共に増となっている。これは後期高齢者医療広域連合における社会保障給付が増加(前年比+116百万円)したことが主な理由である。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等の純資産差額については、令和4年度と比べて減となっている。これは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめとした、新型コロナ関連の歳入の減(△329百万円)が主な要因である。また、純行政コストは前年比△367百万円であったが前年度同様に財源を上回っている状況となっており、庁舎建設に伴う旧庁舎の解体や物価高騰に伴う人件費等の増加により、今後も純行政コストが財源を上回る状況が続くことが予想される。一般会計等を除いた全体における純資産変動の状況は、主に国民健康保険事業の国県等補助金収入の減少が主な理由で本年度差額、本年度純資産変動額については減となっている。純資産残高は下水道事業において、国県等補助金収入の増加により増となっている。全体を除いた連結における純資産変動の状況は、一部事務組合南豆衛生プラント組合の人件費の減少、一部事務組合下田メディカルセンターの旧病院施設の解体による臨時損失の増加、後期高齢者医療広域連合における社会保障給付の増加などの影響により、本年度差額は前年並み、本年度純資産変動額、純資産残高はいずれも減となっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

業務活動収支については、新型コロナウイルス関連事業の縮小等により、収入が国県等補助金収入(△477百万円)、支出が補助金等支出(△211百万円)を主な要因として共に大きく減少したが、支出の減少幅の方が小さかったことから、収支としては減となった。投資活動収支についても、新庁舎建設にかかる工事が本格化したことから、公共施設等整備費支出が大きく増加(+754百万円)し、収支としては減となった。財務活動収支については、庁舎建設事業に地方債を活用していることから、収支としては増となった。投資活動及び財務活動は令和8年度の事業完了まで同様の状況が続くものと見込まれる。一般会計等を除いた全体における収支について、業務活動収支については増加しているが、これは下水道事業における業務費用支出の減が主な理由となっている。投資活動収支についても増加しているが、これは水道事業における公共施設等整備費支出の減が主な理由である。財務活動収支については、水道事業が地方債等発行収入の減、下水道事業が地方債等償還支出の減により、全体としてみると前年並みとなっている。全体を除いた連結における収支について、業務活動収支及び投資活動については一部事務組合下田メディカルセンターの旧病院施設の解体による業務支出の増及び資産売却に伴う現金収入の皆減によりそれぞれ減となっている。財務活動については、一部事務組合伊豆斎場組合の地方債収入の皆減等により、財務活動収支は微減となっている。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率については、資産のうち取得価格が不明で、備忘価格1円となっている資産が存在するため、類似団体平均値を大きく下回っている。また、分母となる人口が毎年度400人程度減少していることもあり、今後も上昇する見込みである。有形固定資産減価償却率については、類似団体平均値を大きく上回っている。これは、平成半ばの頃に財政緊縮措置として固定資産の更新を先送りとしたことに起因するものであり、今後大規模な更新や庁舎移転による解体等が控えているため、数値が大きく変動することが見込まれている。また、単年度で比較した場合、令和2年度から令和3年度まではほぼ横ばいであったが、令和4年度は増加に転じ、令和5年度も増加した。これは、過去数年と比較して施設の大規模整備がなく、減価償却が資産の増加を上回ったことによるものと分析する。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率については類似団体平均値を下回っているが、負債である地方債の約35%が臨時財政対策債によるものであり、実質的にはその元利償還金が地方交付税により措置される。また、令和元年度から純資産比率が継続的に下がっているが、これは多くの投資的事業の財源を起債で賄っていることによるものであると分析する。将来世代負担比率については、令和元年度まで類似団体平均値を下回っていたが、令和2年度の増加により上回り、その後令和5年度まで徐々に差が開いている。これは、過疎債及び緊急防災・減災事業債の増等による地方債残高が増加していることが要因であり、今後も新庁舎をはじめとした施設の大規模な更新が控えているため、さらに増加することが見込まれている。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストについては、令和3年度までは類似団体平均値を下回っていたが、令和4年度は上回り、令和5年度についてはほぼ同規模となっている。数値の減少については、令和4年度に実施された非課税世帯等臨時給付金や価格高騰緊急支援給付金、新型コロナウイルス関連事業の減による純行政コストの減少によるものと分析する。今後については、社会保障経費(特に扶助費)の増加や維持修繕・委託などの物件費の増加等に加え、分母となる人口も毎年度400人程度減少していることから、今後も上昇していくものと見込まれている。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額については、令和2年度までは類似団体平均値を下回っていたが、令和3年度より上回った。これは、分母となる人口が毎年度400人程度減少していることが主な原因と考えられ、今後も増加する見込みである。単年度のみで比較すると、令和5年度については主に庁舎建設に関連する地方債の増により負債合計は増加した。基礎的財政収支については、令和4年度においては大規模な公共施設の更新が行われなかったことから、類似団体平均値との差は小さかったが、令和5年度は令和3年度以前と同様に大きく下回っている状態である。これは、新庁舎整備事業が本格化したことが理由であると分析する。今後も大規模な公共施設の更新が控えているため、同じような指標の状況が続くものと見込まれている。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率については、令和4年度は類似団体平均値を下回っていたが、令和5年度は、令和3年度同様に類似団体平均値を上回った。これは、新型コロナウイルス関連事業の減に伴う経常費用の減及び学校給食費への新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(生活支援・物価高騰等分)の充当終了に伴う経常収益の増が主な要因であると分析する。施設の老朽化に伴う維持修繕費等が大きくなっており、これか大規模な公共施設の更新が控えていることもあり、数値が大きく変動することが見込まれている。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,