経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については,100%未満ではあるが,経年で比較すると右肩上がりで,平成26年度は95.17%となり100%に近づいており,経営改善に向けた取組が成果を上げていると思われる。④企業債残高対事業規模比率については,経年で比較すると下がってきており,類似団体平均値との比較でも50%以下である。⑤経費回収率については,経年で比較すると右肩上がりで,類似団体平均値を上回ってはいるが100%以下であり,汚水処理に係る費用が使用料以外の収入により賄われていることになるため、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。⑥汚水処理原価については,経年では横ばいで類似団体平均値と同程度であるが,維持管理費の削減や接続率の向上による有収水量を増加させる取組といった経営改善が必要である。⑦施設利用率については,平成26年度に変更認可申請を行い全体計画を見直したことで,倍近い利用率となったため類似団体平均値を上回っており,施設規模は適正だと判断される。⑧水洗化率については,経年比較では微増が続いているが,類似団体平均値を下回っているため,関係団体との連携を強化してPRを積極的に行い,未接続の世帯及び水産加工場に対し接続推進を図ることで,下水道使用料収入の増加に繋がり経営の安定化が図れる。
老朽化の状況について
管渠については,布設から30年以上経過した箇所もあり老朽化が進んでいるが,平成26年度までの管渠改善率が0%となっていることからも分かるように,現在のところ更新事業は実施していない。平成28年度に,経過年数30年以上の管渠・マンホール等の調査を行って長寿命化計画を策定し,管渠等の延命化のため今後計画的に更新事業を実施していく。
全体総括
経営健全化対策の取組として,処理施設等の改築更新・長寿命化事業によるライフサイクルコストの縮減,さらに,処理施設等運転管理業務を最終的には性能発注に補修費等を含んだ包括的な委託とすることによる維持管理費の削減等によって,健全な財政運営を推進するとともに,整備事業については,引き続き早期完成に向けて計画的に実施していく。また,下水道使用料については,平成23年1月に料金改定を行ってから,平成26年4月に消費税率を8%に引き上げ,平成29年4月には消費税率10%への引き上げが決定しているため,料金改定は見送っている状況である。しかし,収益的収支比率及び経費回収率が100%を下回っていることから,適正な使用料収入の確保のために,接続推進に加え使用料の改定についての検討を行うなど,経営改善に向けた取り組みが必要である。