経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は地方債償還金の減少に伴い、年々改善してきている。しかしながら、今後の下水道施設の老朽化対策・更新投資に伴う費用の増加が見込まれるので、健全経営に向けた取り組みを一層努めていく必要がある。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の減少傾向により、比率が下がってきている。今後は、老朽化施設の更新に伴う企業債残高の増加や、人口減少による有収水量の減少によって、相対的に比率が高まる要素もある。⑤経費回収率は、適正な範囲で推移している。人口減少等による有収水量の減少や、下水道設備の更新に伴い、率が下降することも考えられる。⑥汚水処理原価については、水洗化率の向上よりも、人口減少や節水型設備の普及に伴うマイナス要因の影響が大きいため、有収水量の減少が進んでいることや、下水道設備の更新に伴う汚水処理費の増加が見込まれるので、現状を推移していく見込みである。⑦施設利用率は、人口減少に伴い、1日平均処理水量の減少が見込まれるので、今後の施設更新時期に、最大処理水量も勘案しながら、より適切な処理能力・規模にしていきたい。⑧水洗化率は、伸びが鈍化しているが、公共用水域の水質保全や使用料収入の確保のために、水洗化率向上を図っていきたい。
老朽化の状況について
供用開始してから30数年がたち、処理場等の機械・電気等の設備については随時更新してきているが、管渠については、カメラ調査を行った範囲では、一部を除き、概ね良好な状況にある。しかしながら、整備をはじめた初期の管渠は法定耐用年数に近づいていることや、管渠の整備時期に偏りがある現状を勘案した場合、管渠の更新も平準化させていく必要性があると思われるので、人口減少や社会環境・構造の変化を十分見極め、予測しながら、より効率的な老朽化対策を検討していきたい。
全体総括
類団と単純に比較した場合、特に悪いという状況にはないが、残念ながら、さらに進む状況にある人口減少を想定したうえで、老朽化していく設備の更新を考えていく必要がある。投資試算・財源試算を予測する「経営戦略」を策定するうえでは、施設のダウンサイジングはもちろんのこと、広域化・共同運営を検討し、スケールメリットをはたらかせたり、更なるアウトソーシングやコンセッション方式導入を検討するなど、あらゆる手段・手法を用いて、下水道という社会生活基盤の効率的で安定的な経営が可能になる方法を反映させる必要がある。