経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率例年収支は赤字で、H28年度は改善したものの、これは打切決算に伴う一般会計からの繰出金が大きな割合を占めており、経営改善に向けた取組みが必要な状況である。④企業債残高対給水収益比率企業債残高はわずかながら減ってきてはいるものの、更なる経営改善を図っていく必要がある。なお、打切決算に伴う給水収益決算額減少の影響により指標は増加しているが、地方債現在高は減少傾向にある。⑤料金回収率現年分に加え滞納分料金の回収も行っているが、それでも70%前後と低く、繰出金により収入不足を補填している状況にある。特に平成28年度決算においては、上水道移行に伴う打切決算のため、4月以降収入予定の水道料金が一部未収入扱いとなっており、当該数値は例年より低い水準となってなっている。⑥給水原価給水原価は地理的不利な条件により類似団体よりも高く、年間総有収水量の減少などの理由により年々増加傾向にあるため、健全経営のためには、更なる投資の効率化や維持管理費用の削減といった経営改善が必須である。⑦施設利用率本町は、小規模の簡易水道14、飲料水供給施設1を有しているが、平成29年度から一つの上水道に統合され、事業規模は現在給水人口19,000人前後となる見込である。しかしながら、小規模集落が島内各地に点在しているため、一部施設を除き、需要密度が低く、給水区域も広いことから、施設利用率は60%前後と悪い。⑧有収率有収率についても、地形的条件並びに管路の老朽化から70%前後と低い傾向にある。
老朽化の状況について
本町は、離島という地理的条件から、集落が点在している。このため、給水区域が広く、必然的に管路延長も長くなっている。管路の更新については、計画的に実施している状況ではあるが、予算にも限度があり思うように進捗していないため、老朽化が著しい。平成29年度には、簡易水道会計から上水道会計への移行がなされるが、移行後は国庫補助事業の要件が厳しくなり、また、交付税措置の有利な起債の借入れができなくなるため、更なる投資経費の制限が見込まれ、老朽化が一層進むことが予想される。そのため、移行前の最終年度である平成28年度には例年より建設事業費を増額して実施しており、管路更新率も一時的に増加している。
全体総括
水道事業の経営改善に向けて、料金回収率を上げると共に維持管理の見直しによるコスト削減と、漏水調査に基づく有収率の向上を目指す。また、管路の計画的な更新を行い、老朽化対策を図る。平成29年度には、簡易水道会計から上水道会計への移行がなされるため、独立採算制を原則とした更なる経営改善を実施する必要がある。