経営の健全性・効率性について
当市の工業用水道事業は、昭和60年から給水を開始、市町村合併を経て平成27年度に一般会計から上下水道局に事務を移管し、水道事業と併せて事業を行っている。また、市の施策としての重要な産業基盤を支えるものであるため、収益となる料金を低く設定している。このため、給水収益で不足する費用のほとんどを一般会計繰入金で賄っている状況である。①が100%を超えて推移しているにもかかわらず、⑤が40%前後で推移しているのは、このためである。③が平成30年度以降に減少しているのは、機械装置の新規設置と老朽化による更新を行い流動資産が減少したためである。④は平成30年度に機械装置の新規設置に伴う企業債を借入れにより増加したが、元金償還により令和元年度は減少している。⑥給水原価は、上記設置に伴う減価償却費及び一時的な資産減耗費によって増加したが、今後は大きな施設の更新予定もないため、今後、給水原価は、資産減耗費分が減少し、横ばいで推移する見込みである。⑦施設利用率及び⑧契約率が低く推移しており、施設の処理能力に余裕があるため、効率化を図る必要があるが、先にも述べたようにこの事業が市の施策として重要な産業基盤を支えるものであるため、安易に効率化や料金値上げ等を進めることはできない。
老朽化の状況について
当市の工業用水道事業は、昭和60年から給水を開始し、30年以上が経過している。耐用年数を超えた管路等は存在しないが、設備や機械装置等に故障が発生しているため、順次更新に努めている。
全体総括
今後は、「佐賀市工業用水道事業経営戦略」及び令和2年9月に改訂した「佐賀市上下水道ビジョン」に基づき、安全かつ安定的な給水を行うため、施設の適正な維持管理を実施していく必要がある。また、健全な経営と効率的な事業運営を行うためにも、施設の効率化や料金改定について一般会計と協議し検討していく必要がある。