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本市の財政力指数は、ここ20年近くにわたって0.37から0.40の間を推移しており、改善傾向はみられない。本市は、旧産炭地及び過疎地域であるため、人口の減少や少子高齢化の進展が著しく、基幹産業もないこと等から、財政基盤が極めて弱く、類似団体の中でも低い財政力指数となっている。現在、第5次行政改革実施計画に基づき、事務事業の見直しなど徹底した歳出の抑制を図る一方、地方税等の徴収強化(26年度実績97.5%→27年度実績98.2%)や移住定住の促進、企業誘致、地場産業育成など歳入増に繋がる対策に努めているところである。
過去の大型投資的事業の実施による地方債の元利償還で公債費が多額であり、高齢者や生活保護受給者が多いため福祉関係経費が高い水準であることから、90%を超えた水準で推移している。公債費については償還のピークが過ぎ、減少傾向にあるものの、それを上回る生活保護費、保育所運営費等扶助費の増があった影響などにより、27年度は前年度に比べ、0.1ポイント悪化している。今後も継続的に、地方債残高の削減による公債費負担の縮減を図るとともに、事務事業の見直しなどによる経常経費の削減に努める必要がある。
前年度に比べ、約6千円増加しているが、これはふるさと寄附金の増に伴い、寄附募集及びお礼品の発送などにかかる経費(物件費)が増加したことが主な要因である。なお、分母となる人口が若干減少(27年1月1日時点49,830人→28年1月1日時点49,451人)したことも増加要因となっている。
23、24年度は、東日本大震災に伴う国家公務員の時限的な給与の引き下げ措置により、指数が100を上回っているが、25年度には、本市の職員給与について国と歩調を合わせて引き下げを行ったため、26年度にかけて指数は低下している。27年度の変動要因としては、職員構成の変動や給与の総合的見直しを28年4月1日から実施したことが主な要因として挙げられる。
27年度の職員数は5名の減となっており、人口千人当たりの職員数も微減となっている。これまで4次にわたる定員適正化計画に基づき、既存の事務事業を見直し、事務の効率化を図ることで職員削減を行ってきたが、国、県からの権限委譲、事務移管や生活保護受給者への対応などにより、24年度から新たな計画の下、定員管理を行ってきた。この計画は、28年度までの目標設定となっていることから、29年度以降に向けて新たに計画を策定中である。
失業対策事業、改良住宅建設事業、地域改善対策事業、過疎対策事業など旧産炭・過疎地域特有の多くの投資的事業の実施に伴う地方債の元利償還金が多額であるため、類似団体平均を上回る値を推移してきた。しかしながら、これまでの起債の抑制により普通会計の公債費は減少(22年度36億円→27年度25億円)し、実質公債費比率も減少傾向にあり、27年度は類似団体平均を下回る値となっている。今後も、行政改革の推進により投資的事業の大幅な縮減や見直しを行うなど、公債費負担の軽減に向け努めていく必要がある。
27年度は、23年度以来5年続けて将来負担比率は算定されなかった。普通会計の地方債残高については、年々減少してきていた(22年度末264億円→26年度末247億円)が、27年度に増加に転じている。(27年度末251億円)しかしながら、特定農業施設の維持管理のための基金など充当可能基金残高が多額(27年度末162億円)であるため、将来負担比率の算定には至っていない。
類似団体平均と比較すると、人件費に係る経常収支比率は低くなっているが、その要因としてごみ処理業務や消防業務、介護保険業務など一部事務組合で行っていることが挙げられる。一部事務組合の人件費に充てる負担金や病院事業の公営企業会計の人件費に充てる繰出金といった人件費に準ずる費用を合計した場合の人口1人当たりの歳出決算額は類似団体平均と同程度であり、今後はこれらも含めた人件費関係経費全体について、抑制を図っていく必要がある。
ふるさと寄附金の増に伴い、寄附募集及びお礼品の発送などにかかる経費が増加したことなどにより、前年度に比べ、0.8ポイント増加している。なお、物件費に係る経常収支比率は類似団体平均より低く抑えられているいるが、これは、物件費全体の約14%を占める公営住宅の管理に要する経費(主に指定管理者委託料)の大半に特定財源である住宅使用料(家賃収入)が充てられていることから、一般財源からの負担が軽くなっているためである。
扶助費に係る経常収支比率が類似団体平均を大幅に上回っている主な要因として、多額にのぼる生活保護費が挙げられる。本市は、旧産炭地であることや地域経済の低迷などの要因により、低所得者及び失業者が多く、保護率が他団体に比べ非常に高いものとなっている。(保護率27年度平均62.2パーミル)保護率の上昇は全国的な傾向ではあるが、企業誘致や就労支援策などの雇用対策や、生活困窮者への自立支援策などを通じ、生活保護費の削減を図る必要がある。
その他のうち、大半を占めるのは繰出金であるが、内容としては、国民健康保険、後期高齢者医療保険及び介護保険にかかるものとなっている。高齢化の進展に伴い、繰出金は増加傾向にあり、各保険料の値上げなど、持続可能な財政状況を目指し、健全化を図る必要がある。
本市では、消防組合や清掃施設組合などの一部事務組合に加え、市立病院に対する補助金(繰出金)があることにより、類似団体平均を上回ることとなっている。なお、市立病院への繰出金のうち経常的なものは、繰出額の算出方法の見直しもあって、24年度の7.0億円から27年度は10.4億円に増加しており、市立病院の再建は、本市の財政にとっても喫緊の課題となっている。
失業対策事業、改良住宅建設事業、地域改善対策事業、過疎対策事業など旧産炭・過疎地域特有の公共事業を実施し、多くの地方債残高を抱えることとなったため、公債費に係る経常収支比率が類似団体平均より高くなっていたが、新規地方債の借入抑制を行ってきた結果、地方債残高は18年度末で320億円であったものが26年度末では247億円まで減少してきており、公債費に係る経常収支比率が類似団体平均を下回る状況に至っている。しかしながら、27年度は残高が増加に転じており、今後の残高の推移には注意が必要である。
公債費以外については、概ね類似団体平均の割合で推移してきたが、物件費及び補助費等の増や類似団体平均を大幅に上回っている扶助費の影響により、25年度以降悪化しており、27年度も前年度に比べ、同様に1.9ポイント悪化している。経常収支比率の改善には、市税等の経常一般財源の増収に加え、特に扶助費の削減が重要であるが、現下の経済情勢を踏まえると、困難を伴うものとなっている。
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