経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は100%に満たない赤字の状態が続いており、一般会計からの繰入金で補てんしている状況である。また、収益的収支比率の悪化は地方債償還金の増によるもので、事業開始が平成12年度で、下水道事業債の償還期間が30年と長く、平成32年度をピークに悪化していくものの、その後は改善していくものと試算している。また、平成25年度より設置基数の減少により地方債の借入も減少しており、今後も人口の減少、高齢化等により設置基数が減少していくものと予想される。経費回収率は平均値を超えており、近年、経費回収率は増加していたが昨年度は減少となった。人件費や修繕料などの維持管理費の増加が要因として考えられる。汚水処理原価も平均値を下回っているが、平成24年度から上昇傾向にある。これも維持管理費の増に伴う汚水処理費の増加が要因として考えられる。今後もさらに維持管理費の節減を図りながら効率的な運営に努める。浄化槽使用料については、3年ごとに行う上下水道使用料の見直しに合わせ、適切な経費回収率となるよう努める。
老朽化の状況について
平成12年度より事業を開始し、現在まで老朽化による浄化槽本体の破損等は見られない。一般的には浄化槽の寿命(耐用年数)は30年以上とされており、現状では老朽化の問題はないと考えられる。しかしながら、設置基数増加に伴うブロア交換などの経常的な修繕に加え、設置後10年以上経過した浄化槽も多くなり、高額な修繕(ろ材浮上などの浄化槽の部品の修繕)が発生してきている。今後も浄化槽の適切な維持管理に努め、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を目指しながら、浄化槽の長寿命化を図る。
全体総括
経費回収率は平均値を上回っており、また、汚水処理原価も平均値を下回っている状況で、類似団体と比較しても問題のある状況ではないと考えられるが、収支不足を一般会計からの繰入金に頼っているのが現状である。維持管理のための事業収支は使用料によって賄われることが望ましいが、下水道使用料等との関連で浄化槽使用料を高く設定できず、支出費用の合理化を行ってもなお不足する場合には、一般会計からの補填を行う必要があるものと考えられる。今後も集合処理施設の設置が不適切な地域における、公共用水域の水質保全と生活環境の改善を目指し、浄化槽市町村整備推進事業により合併処理浄化槽の設置を推進する。