経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道事業については、他団体同様、市街化区域以外の小規模な排水処理区域を基礎とし、処理区域内人口密度も公共下水道の4割程度と汚水処理の効率が低く、使用料については、公共下水道事業に準じた体系となっているため、収益性が低くなっている。特に⑤の経費回収率について、下水道使用料で汚水処理費を賄えていないため100%を大きく下回る71.06%となっており、類似団体平均の82.88%からは11.82ポイント下回っている。①の経常収支比率について、前年度比で2.68ポイント減となった。これは料金改定を行ったものの、前年度統廃合により処理場が1箇所減少したため、使用料収入が減少したこと。また、他会計繰入金についても減少していることから、最終的な純損失も前年度から増加したことが要因である。③流動比率について、前年度比17.95ポイント減となったが、これは前年度から他会計繰入金の額が大幅に減少したことに伴い、流動資産が減少したことが要因である。⑥汚水処理原価について、人口減少、新型コロナウイルスの感染防止対策からの使用水量の減少及び大口使用者の廃業などから、前年度から有収水量が大幅に減少したことにより、前年度比で27.83ポイント増となった。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率について、本市特定環境保全公共下水道は令和2年度で法適用5年目を迎え、法適化時に減価償却累計額相当額を控除した額である簿価を取得価額とし、減価償却累計額がゼロの状態で開始したため、償却率が低くなっている。今後、年数が経過し、償却が進むにつれ他団体と同程度になるものと見込まれる。また、処理場については、供用開始から20年以上が経過する施設がほとんどであり、設備の耐用年数が経過し、更新需要が増加する見込みであるため、計画的な維持管理等を行う必要がある。
全体総括
将来の人口減少や節水意識の高まりにより、中長期的に使用料収入が減少する見込みである。処理場や管渠等の老朽化対策に係る多額の更新需要が見込まれることから、処理場の統廃合などによるコストの削減等、不断の経営改善が必要である。なお、今後の処理場の統廃合については、島嶼部地域の3箇所の農業集落排水施設を近隣の特定環境保全公共下水道施設に統合する予定である。