経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道は奥津温泉街を処理区域としており、整備面積は狭く、区域内の定住人口も少ないのですが、道の駅や温泉施設等の利用者も処理対象としていることから、季節により処理水量に大きな変動があります観光地であること、また国指定の名勝「奥津渓」にもほど近いことから、高度処理と呼ばれる膜分離活性汚泥法という処理方式を採用しており、処理後の放流水は上質なものとなっています。経営については、収益的収支比率は100%ですが、経費回収率は27.34%と全国平均・類似団体平均を大きく下回っていることから、一般会計繰入金に頼った経営を余儀なくされていることが分かります。また水洗化率は平均値を上回っているものの施設利用率が低いことから、効率性についても検討の余地があることが分かります。これについては、平成27年度策定の「鏡野町クリーンライフ100構想」において、隣接する農業集落排水施設(奥津北地区)を取り込むこととしており、事業実施後は改善されるものと考えています。汚水処理原価(1m3の水を処理するのに要する経費)が非常に高いものとなっていますが、これは処理方式が高度であることと、流入水量が少ないことが原因ですが、農業集落排水取り込み後には流入水量が増加するため、平均値並みには数値が改善するものと思われます。
老朽化の状況について
特定環境保全公共下水道の処理場施設や管路については、平成18年3月31日の供用開始であり、10年程度しか経過していないため、今すぐ老朽化の対策を検討する時期ではありません。しかし、現状の経営が一般会計からの繰入に頼っている状況であり、何らかの対応をしなければ将来改修・更新が必要となった際、非常に困難な状況になるものと思われます。
全体総括
現在、本事業については隣接する農業集落排水事業(奥津北地区)を取り込むための手続きについて種々検討している状況です。また、町に4事業ある下水道事業について平成30年度から公営企業会計制度を適用するため固定資産調査等を進めており、その作業の中で減価償却費の算出も行うことから、より詳細な将来計画の策定も可能となります。そのため、現在作成中の「経営戦略」について、企業会計適用後に再度見直していくこととしています。