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平成26年度及び平成27年度は横ばいとなっていたが、平成28年度及び平成29年度は、市税収入が増加したことなどにより、基準財政収入額が増加したため、0.01ずつ改善した。平成30年度は、人口増等によりさらに市税収入が増加しているが、基準財政収入額の伸び率よりも基準財政需要額の伸び率がわずかに上回り、平成29年度と同指数となった。
平成30年度は、地方税の増額を上回る扶助費、物件費等の増加により、0.7%悪化し、95.7%となった。依然として、類似団体内平均値を上回る状況となっていることから、財政構造の弾力性を担保すべく、引き続き、職員体制の見直しや事務事業の精査等により、経常経費の削減等に努める。
人件費及び物件費ともに平成29年度より増加となった。人件費については、3年間停止していた新規採用を平成27年度より再開したことによる職員増により増加、物件費については、留守家庭児童育成室に関連する事業費の増加が主な要因である。一方で、分母となる人口も増加してはいるが、人口1人当たりの人件費・物件費等の決算額は平成29年度に比べ、1,856円増加となり、依然として類似団体内平均値を上回る状況となっている。
平成30年度のラスパイレス指数は、前年度から0.1減少したものの、国家公務員及び類似団体内平均値を上回っている。本市の職員の給与制度については、国の制度に準拠しているが、引き続き、管理職員の適正な人数管理等に努め、国及び類似団体とバランスのとれた指数の達成に向けて取り組む。
人口1,000人当たり職員数については、平成28年度から、ワーク・ライフ・バランスの観点から、産休、育休者等に対応するために必要な職員を採用し、また、再任用常時勤務を希望する職員が増加する傾向にあることから、増加している。平成30年2月に「職員体制最適化計画(暫定版)」を策定し、地方公務員法等の改正への対応や中核市移行を見据えるなか、職員体制上、大きな変化を迎える状況にあることから、目標数値を定めていないが、可能な限り現状の職員数を超えることのない職員体制の構築に努める。
平成23年度以降臨時財政対策債を発行しない財政運営を行っていることから、近年は地方債の発行が抑えられている。また、過去に借り入れた地方債について、償還が完了するものも多く、地方債償還のための一般財源等を昨年度以下に抑えることができている。ただし、近い将来、多額の地方債発行を伴う普通建設事業の実施が見込まれていることから、今後も十分な精査のもと、普通建設事業を実施するよう努める。
本市が将来負担する可能性のある債務等の規模は、平成29年度に引き続き類似団体と比べて小さい。しかしながら、小中学校校舎の大規模改造や都市計画道路の整備などの大規模な普通建設事業が施行中であり、その財源として多額の地方債発行が見込まれている。今後も将来世代への過度な負担を先送りすることがないよう、世代間の公平性を十分に考慮した財政運営に努める。
給与制度改革(役職に応じた給与カット等)を実施し、人件費抑制を図ったものの、3年間停止していた新規採用を平成27年度より再開したことによる職員数の増により、人件費が増加している。類似団体内平均値と比べると高い水準が続いていることから、今後も職員体制等の見直しを実施していく。
平成30年度決算では、留守家庭児童育成室に関連する事業費の増加などにより、平成29年度に比べ0.5%の増加となった。また、図書館や体育館などの公共施設が多いことから、施設保守や設備点検に係る経費が多額となっており、類似団体内平均値と比べて大きく乖離する状況となっている。今後、「吹田市公共施設総合管理計画」に基づき、施設の複合化等により効果的な運営策を検討し、経費の縮減を図ることが必要である。
生活保護費や子ども医療費が増加したことなどにより、平成29年度に比べ0.2%の増加となった。障がい者福祉施策や保育所等の子育て支援施策関連経費が伸びており、依然として類似団体内平均値を上回る状況となっている。今後も十分な事業費の精査を行い、持続可能な給付施策の運営に努める。
平成29年度より下水道事業が地方公営企業法の一部(財務規定等)を適用し、公営企業会計に移行したことに伴い、繰出金が大幅に減少したことにより、平成28年度から大きく減少している。維持補修費については、公共施設が多く、構造的に維持管理経費が多く必要なことから類似団体内平均値と比べて高い比率を示している。今後、施設の複合化等により経費の縮減を図ることが必要である。
平成29年度より下水道事業が地方公営企業法の一部(財務規定等)を適用し、公営企業会計に移行したことに伴い、平成28年度から大きく増加している。平成30年度決算では、下水道事業の負担金の減少などにより、平成29年度に比べ0.2%の改善となった。
将来世代へ負担を先送りしないよう平成23年度以降臨時財政対策債の発行を行っていないことや起債対象となる事業の必要性・効果等を十分に検討し、発行を抑制してきた結果、依然として類似団体内順位が1位となっている。今後、多額の地方債発行を伴う普通建設事業の実施が見込まれていることから、十分な事業費の精査が必要である。
過去から安定した市税収入に恵まれたことで、直営の公共施設を多く有し、また、直営で多くの事業を実施してきたことから、補助費等を除いた各性質別経費で類似団体内平均値を大きく上回っており、類似団体の中で最も高い数値を示している。今後も事務事業を精査し、持続可能な財政運営に努めていく。
(増減理由)財政調整基金については、平成29年度の実質収支額の2分の1である12.6億円を積立てたことにより残高が増加した。また小中学校校舎の大規模改造などのために8.1億円取り崩したものの、土地の売却収入などを21.3億円積立てたことにより、公共施設等整備基金の残高が13.2億円増加した。一方、都市計画道路の新設工事に伴う基金の取崩しで都市計画施設整備基金の残高が14.2億円減少し、基金全体としては11.7億円の増加となった。(今後の方針)今後も公共施設の整備等が進んでいく見込みであり、各基金の設置目的の達成のため、引き続き適切な積立て、取崩しに努める。
(増減理由)平成29年度の実質収支額の2分の1である12.6億円を積立てた一方、取崩しによる財源補填措置を行わなかったため、平成29年度に引き続き増加となった。(今後の方針)災害への備え等のため、目標額をおおむね100億円程度と設定している。平成29年度に引き続き財政調整基金の取崩しによる財源補填措置を行うことなく黒字決算となり、目標額を達成している。今後も目標額を下回ることがないよう、事務事業を精査し、持続可能な財政運営に努める。
(増減理由)(今後の方針)
(基金の使途)都市計画施設整備基金:都市計画道路などの都市計画施設等の整備公共施設等整備基金:小中学校校舎の大規模改造などの公共施設等の整備廃棄物処理施設整備基金:資源循環エネルギーセンターや破砕選別工場などの廃棄物処理施設の整備緑化推進基金:公共施設等の緑化推進地域福祉基金:地域福祉サービスの推進(増減理由)都市計画施設整備基金:都市計画道路の新設工事のために取崩したことにより14.2億円の減少となった。おおさか・すいたハウス支援基金:おおさか・すいたハウスの移転等のために全基金残高2.2億円取崩したことにより皆減となった。公共施設等整備基金:小中学校校舎の大規模改造などのために8.1億円取り崩したものの、土地の売却収入などを21.3億円積立てたことにより、13.2億円の増加となった。老人福祉施設整備基金:老人福祉施設の整備のために寄附金などを積立てたことにより1.4億円の増加となった。環境まちづくり基金:環境の保全及び創造の推進のために一般財源などを積立てたことにより0.8億円の増加となった。(今後の方針)今後も公共施設の整備等が進んでいく見込みであり、各基金の設置目的の達成のため、引き続き適切な積立て、取崩しに努める。
本市では、一般建築物やインフラ・プラント系施設を含めた公共施設の最適化に取り組んでおり、長寿命化など、施設の特性に応じた最適化を進めているが、多くの施設が昭和30年~50年代にかけて建設されており、老朽化が進んでいる。大規模改修、建替えや更新の取組費用が、減価償却の累計額を上回っており、有形固定資産減価償却率が下がり、類似団体内平均値より下回っていると考えられる。今後、各施設の状況を踏まえ、修繕・更新などの検討を進める。
類似団体と比較すると債務償還比率は低いため、本市の債務償還能力は高いと考えられる。しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の影響による市税収入の低下や、多額の地方債発行と基金の繰入を伴う普通建設事業の実施等が見込まれることから債務償還比率は高くなると考えられる。世代間の公平性を十分に考慮し、将来世代への過度な負担の先送りなどを行わない財政運営に努める必要がある。
現時点では地方債の現在高などが近い将来に本市の財政を圧迫する見込みは少ないと思われる。しかしながら、都市計画道路の整備などの大規模な普通建設事業を予定しており、多額の地方債発行が見込まれていること、また、有形固定資産減価償却率が60.0%と、既存施設の老朽化が進んでいることから、今後、多額の費用が必要となるため、長寿命化など公共施設のあり方の検討を進め、公共施設の維持管理・修繕・更新等にかかるトータルコストの縮減や市の財政の平準化を図り、公共施設の管理運営に取り組む。
本市が将来負担する可能性のある債務等の規模は前年度に引き続き類似団体内平均値と比べて小さい。また、普通建設事業費の精査に努め、地方債償還のための一般財源等を抑えているため、現時点では、財政を圧迫する見込みは少ないと考えられる。しかしながら、今後、多額の地方債発行を伴う普通建設事業の実施が見込まれていることから、世代間の公平性を十分に考慮し、将来世代への過度な負担の先送りなどを行わない財政運営に努める必要がある。
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