経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、経常収益で経常費用を賄えているため100%を超えています。これは単年度黒字を継続できており良好な状況にあり、類似団体と比較して高くなっています。③流動比率は、短期的な債務の支払いに対しての資金を確保できている状況のため100%を超えており、良好な状況にあり、類似団体と比較して高くなっています。④企業債残高対事業規模比率は、事業着手が早いこともあり、類似団体と比較して低くなっています。今後の施設改築に伴い増加することが懸念されます。⑤経費回収率は、適正な使用料収入の確保ができていることや低い汚水処理原価を維持できているため100%を超えています。これは下水道使用料で回収すべき経費を賄えているため良好な状況にあり、類似団体と比較して高くなっています。⑥汚水処理原価は、企業債利息の減少や施設の老朽化により減価償却費が少ないことなどにより、類似団体と比較して低くなっています。
老朽化の状況について
昭和30年代の千里ニュータウン建設に伴い管渠が大量に整備されており、一斉に老朽化が進んでいます。下水処理場も供用開始後約50年を経過し、施設の老朽化が進んでいます。①有形固定資産減価償却率は、施設の老朽化が進んでいるため増加傾向にあります。なお、企業会計移行後からの数値であり、本市の平成29年度の企業会計移行は早くはなかったため、類似団体と比較して低くなっています。②管渠老朽化率は、建設当初から約60年が経過して、類似団体と比較して極めて高くなっています。③管渠改善率は、類似団体と比較して高くなっていますが、老朽化した管渠は増加する見込みのため今後も計画的に改築更新を進めていく必要があります。
全体総括
令和3年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、有収水量が減少し事業収益の根幹である下水道使用料も減少しました。施設の老朽化により減価償却費の減少や企業債残高の減による支払利息が減少しましたが、管路の点検委託料の増加や設備等の修繕費が増加したことにより費用が増加したため、経常利益は前年度と比較して減少しました。汚水整備はほぼ概成し、浸水対策や長寿命化計画に基づく改築更新を進めてきました。しかし、施設の老朽化が進行していることに加え、近年の集中豪雨による浸水被害、地震などの大規模災害への対策など、多くの課題が山積しています。今後は経営環境の変化に対して適切に対応するために、平成31年3月に策定した下水道経営戦略に基づき、更なる民間活力の導入など、より一層の経営基盤の強化を図り、持続可能な下水道事業を経営していく必要があります。