経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率は104.07%であり、100%以上となりますので、経営状態は安定していると考えられます。②の累積欠損金比率は0%であり、累積欠損金は発生していません。③の流動比率は295.3%であり、資金不足が発生していないことから、経営状態は安定していると考えられます。④企業債残高対事業規模比率は27.17%と、類似団体平均値を大きく下回っておりますが、これは近年新たな借り入れを控えているためと考えられます。ただし、今後老朽化施設の更新のために事業費が増加する見込みのため、企業債残高が増加することが見込まれます。将来に渡る下水道事業の経営の安定化を継続するためにストックマネジメント計画に基づき事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持管理・改築更新に取り組む必要があります。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は類似団体と比べてもいい水準になっており、健全な経営状況であると考えられます。⑧水洗化率は99.99%とほぼ100%に達しており、将来的には100%になると見込まれます。以上の指標を分析した結果、現状では経営が健全であると考えますが、今後老朽化した施設の更新のため事業費の増加が見込まれるため、費用の縮減や収入の確保等継続的な下水道事業経営の見直しが必要と考えます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管渠老朽化率が令和2年度から令和3年度に大幅に増加しているのは、昭和44年度から昭和56年度にかけて急速に整備を行った管きょが、徐々に法定耐用年数を経過し始めているためです。令和3年度以降に法定耐用年数である50年を超える管きょが急増しており、今後の10年間で施設の更新時期のピークを迎えることが見込まれています。そのため、令和元年度に市内管きょ全249kmを対象としてストックマネジメント計画を改定し、令和2年度より5か年で約6,500箇所を対象に点検を行っています。ストックマネジメント計画及び点検結果に基づき、順次管きょの調査・改築を行う予定で、令和3年度には布設替工事を施工しました。令和4年度以降も管更生等改築工事及び管きょの補修を行っていき、③管渠改善率の上昇を目指します。
全体総括
小金井市の公共下水道事業は、昭和44年に公共下水道整備計画に着手し、昭和62年の普及率100%達成後、維持管理の時代へと推移しました。現在、当初敷設した管きょが供用開始後50年を迎えようとしており、今後施設更新に係る事業費の増大が見込まれます。また、経常収支比率が平均値より低いことや、使用料徴収に係る事務経費は公共下水道事業の維持管理に影響を与えます。今後も安定的な経営を継続することを目指し、令和2年度からの公営企業法適用による財務状況の分析を踏まえた上で、長期的な財政見通し、使用料・事務事業の定期的な分析、ストックの利活用、新たな収入確保への取り組みなどについて、下水道総合計画、経営戦略改定版や広域化・共同化計画の策定を現在実施しており、より一層の経営基盤の強化を図っていきます。