経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業は、山間部の集落2地区の汚水処理を行う事業であり、かかる費用に対して料金収入が少ない収益構造となっている。24年度に料金改定を行ったものの、経費回収率は100%を下回っており、改定後も汚水処理費を料金収入で賄えていない。そのため、収入不足分を一般会計から繰り入れしているので、経常収支比率では収支均衡状態である。累積欠損金比率が24年度から減少しているが、使用料収入の増加により割合が変動したためで、累積欠損金自体は増減していない。汚水処理原価が24年度から増加しているのは、料金改定により使用料収入が増加し、それに伴い一般会計からの繰入金が減少した結果、使用料収入で賄うべき費用が増加したためである。農業集落排水事業は、下水道事業のうち唯一資金不足に陥っていないが、料金収入で汚水処理の費用を賄えない状況のため、資金の減少が続いており、流動比率の悪化を招いている。供用開始後新たな投資は行っておらず、投資の財源として借り入れた企業債の残高は年々減少し、その結果企業債残高対事業規模比率の減少につながっている。生活環境の改善と収入確保のため、下水道の普及促進に努めていることにより、水洗化率は少しずつであるが年々上昇している。
老朽化の状況について
農業集落排水事業の供用開始は平成18年であるため、耐用年数の50年を超えている管渠はまだ発生していないことから、管渠老朽化率及び管渠改善率は0%である。有形固定資産減価償却率が26年度に大幅に上昇しているが、これは地方公営企業の会計制度改正の影響によるものである。
全体総括
24年度に料金改定を行ったが、それでも収入不足のため一般会計から繰入により補てんしている状況である。収益構造の悪い地域での事業であり、汚水処理費のうち維持管理の費用も賄えていない状況である。農村部の生活環境改善に資する事業として取り組んでいく必要があるため、今後も一般会計からの繰入を前提とする状況が続くものと見込まれる。下水道事業は、中長期的な経営の基本計画である経営戦略をまだ策定していないため、今後既存施設の状況を踏まえた効率的、計画的な施設管理をしていくため、28年度に経営戦略を策定する予定である。