経営の健全性・効率性について
①24年度以降は類似団体同様の緩やかな回復傾向となっている。地方債元金償還金が、24年度からは5億円を超えることとなったため、比率は75~80%前後で推移している。地方債償還金の増加に伴い繰入金も増加しているため、総収益も増加傾向に向うと予測する。28年度は、29年度からの企業会計移行に伴う打ち切り決算となったため、未払金が生じており、27年度に比べ総費用が減少したことで、類似団体と比較しても高い水準となった。④類似団体が1300%程度で推移しているのに対し、本町は24年度の2000%以上から1800%台に年々微減してはいるが、高い水準を維持することとなっている。統合簡易水道整備事業により大規模な建設投資を行ってきており、それに係る経費の大部分を地方債の借入に頼っていることから、地方債残高は依然、大きい額となっている。年間有収水量は大型施設の利用により若干増加傾向にはあるが、比率は類似団体と比較して高いものとなっている。28年度で統合簡易水道整備事業が完了し、29年度以降、大規模な建設投資は見込まれないため、地方債借入額も抑制傾向が見込まれ、地方債残高は減少傾向となると考える。⑤類似団体は平均54%程度であるが、本町は24年度の料金統一以降、50%付近まで悪化し、27年度、28年度では47%前後まで落ちている。料金改定を行ったが、人口の減少等に伴い有収水量が減少傾向となり、給水単価が若干上昇したことに加え、地方債元金償還金が、24年度からは5億円を超える状況となってきたことで、給水原価と供給単価の差がさらに大きくなった。28年度では、有収水量は若干増加したが、打ち切り決算により未収金が発生したため、料金収入が減少した。40年度頃までは地方債元金償還金が5億円を超える状況であることから、当面、料金回収率は50%付近の数値を維持する状況と考える。⑥類似団体が330円前後であるのに対し、本町は500~550円前後と高額になっている。高額な設備投資を行ってきたことにより以前から地方債元金償還金の額は高く、24年以降、5億円を超える状況となり、今後、40年度頃までは5億円台で推移する状況となる。28年度は、打ち切り決算となったため、未払金が発生したことで、27年度と比較して総費用は減少したが、地方債償還金額は同水準であったことで、40円程度減少することとはなったものの、500円台を維持することとなった。有収水量は、27年度と比較すると若干増加しているが、人口減少等に伴い一般家庭の使用料に減少傾向が予測されることや施設の老朽化に伴う修繕事業の増加等から、給水原価は、今後も高い水準を維持しながら推移することが予測される。⑦類似団体が60%台であるのに対し、本町は50%前後となっている。これは、27年度に畑川浄水場の配水能力を上方修正したことで、利用率が49%まで下降することとなった。一日平均配水量は約7千㎥前後で推移している状況であるため、今後も50%前後で推移するものと考えられる。⑧平成24年度までは77%付近で類似団体と同程度であったが、25年度以降は、72%前後で推移している。年間総配水量は平均約270万㎥前後で推移をしているが、有収水量は人口の減少傾向に伴い年々減少の傾向にある。28年度では、27年度と比較して配水量、有収水量ともに微増であったが、年間配水量の増加量により、率としては減少している。今後も人口減少による有収水量の減少が予測されるとともに、老朽化による漏水の増加に伴い、配水量の増加が予測されるため、有収率も低い水準を維持すると考える。
老朽化の状況について
③24年度に更新率が高くなっている要因は、統合簡易水道整備事業において、23年度繰越事業と、24年度現年事業で連絡管等、管路の延長工事が集中したことが要因であり、27年度は、水道の管路台帳を整備したことで、管路総延長データを修正したため、修正による差が表れたものである。28年度は管路の耐震化工事を中心とした事業が主であったことで更新率が類似団体と比較しても高い水準となった。しかし、昭和40年代後半から50年代に建設した施設の多くを現在も活用している状況であり、29年度に策定を予定しているアセットマネジメントの結果から、効果的な管路更新を進めたいと考える。
全体総括
平成28年度で統合簡易水道整備事業が完了し、平成29年度からは上水道事業として法適用を受け、企業会計に移行することとなった。経営状況が明確となることから、経営状況を分析し、効果的で効率的な建設投資により、施設の老朽化への対応や耐震化への対応を検討するとともに、安定した料金収入の確保に努め、事業経営の健全化を図りたい。平成25年には畑川ダムからの取水も開始し、安定した水の供給が可能となったことに加え、京都縦貫自動車道の全面開通に伴い、さらなる水需要の拡大が期待されるところである。今後は、町関係部局と連携し、積極的な企業誘致や定住施策の推進に努めたいところである。