経営の健全性・効率性について
①経営収支比率は100%を超え、類似団体をわずかに上回っていますが、一般会計からの繰入金に依存しているため、引き続き経営の健全化が必要です。③流動比率は前年度から16.25ポイント上昇し類似団体とほぼ同率ですが、100%を下回っています。これは、企業債償還金が多く現金保有が少ないためで、支払能力を高めるための経営改善が必要です。④企業債残高対事業規模比率は類似団体と比較して高くなっていますが、これは令和7年度を市街化区域の概成年度と位置付け、面整備と処理場の増設を推進しているためです。今後も適切な借入と償還を実施しながら、経営改善と事業の推進に努めていきます。⑤経費回収率は前年度からほぼ横ばいで類似団体より低く、100%を下回っています。引き続き経費削減に努めるとともに、今後、使用料の改定の検討が必要となります。⑦施設利用率は前年度から4.19ポイント上昇していますが、これは、前年度処理場の増設による処理能力の増加のため下がった施設利用率が、供用開始区域の拡大により処理水量が増加したことにより上昇したものです。今後も供用開始区域の拡大により処理水量は増える見込みのため、適切な時期に処理場の増設を実施し、適正規模の施設維持に努めます。⑧水洗化率は類似団体より低くなっていますが、これは供用開始区域の拡大により処理区域内人口が大きく増加しているためです。引き続き未接続世帯に対する啓発を実施し、水洗化率の向上を図っていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は前年度より上昇したものの、類似団体より低くなっています。これは平成29年度に法適化した際に、過年度の減価償却累計額を計上していないためと考えられます。②管渠老朽化率が0%、③管渠改善率が類似団体より低いのは、布設から50年経過する管渠がまだないためであり、管渠の改築更新の緊急性は今のところ低いと言えます。今後は老朽化に伴う更新需要が徐々に拡大していくため、ストックマネジメント計画に基づき、適切な維持管理・更新を行っていきます。
全体総括
経費回収率が低く、不足分を一般会計からの繰入金に依存している状態が続いています。引き続き市街化区域概成に向けて下水道整備を進めるとともに、供用開始後30年以上経過し、今後は老朽化施設の修繕や改築、管渠の更新等も増えてくるため、多額の事業費が必要となります。このため、令和元年度に策定した経営戦略に基づき、費用の縮減・自主財源の確保を図るとともに、適切な企業債の借入など、健全な経営の維持に努めます。なお、経営戦略は令和6年度に見直しを予定しています。