経営の健全性・効率性について
収益的収支比率が84.15%(前年度比2.79%低下)と100%を下回り、経費回収率が73.56%(前年度比2.69%上昇)で、類似団体平均84.32%を10.76%下回り、汚水処理原価が226.23円(前年度比8.22円低下)で、類似団体平均188.12円を38.11円上回っているが、これらは、流域下水道へ支払う維持管理負担金が増加したこと及び当事業が地方公営企業法非適用であるため、減価償却費が算定されず、起債償還額元金及び利子が費用計上されているためである。なお、下水道事業資産の平均耐用年数45年(当市においての実質平均耐用年数は46.2年)に対し、起債は1年据置期間を含めて26年で償還している。なお、企業債残高対事業規模比率が959.21%と類似団体平均の1,031.56%を下回るなど好転している。これらは、平成4年度から平成13年度にかけて集中的に大規模な管渠布設工事を実施し、多額の起債をしており、その起債償還元金及び利子がピークを迎えていることを原因としている。当市において平成29年度から地方公営企業法の適用を予定しているが、地方公営企業法を適用することで、減価償却費を算定するなど、適正な費用の把握を行い、それに基づく適正な料金算定を実施することが重要となる。
老朽化の状況について
既存の大型団地接続に伴い、不具合施設の改善を進めてきたが、今後、大型団地の管渠を手始めに法定耐用年数に達する保有資産が発生することから、長寿命化計画に沿った施設の改築を進めることが課題となる。平成28年度から5年間、マンホールポンプ及びマンホールの修繕工事を集中的に実施することを予定している。なお、管渠改善率が0.02%と低いのは、管渠等が比較的新しいためであり、今後、老朽化が進むにつれ、改修の必要な管渠が増加することが予想されるため、その財源を確保していくことが課題となる。
全体総括
平成29年度からの地方公営企業法適用のため、保有資産の評価額など各種データを整理している。これらのデータを基に、減価償却費などの費用が適正に算定できるようになり、長寿命化計画に基づく適正な改修工事を進めるのに必要な投資の財源を確保するため、適正な料金算定を実施していくことが重要となる。