経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は近年、100%前後で推移しており令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響から観光産業の集客状況も改善のの状況が見られないことから料金収入が0.76%減少している。今後も持続可能な経営上状態にすることを目標に、財務指標による多角的な経営分析を実施し、経費削減に取り組む必要がある。②累積欠損金比率は14.53%と平均値よりかなり低い率であるが、0%となるよう改善を図っていく。③流動比率は18.87%、流動負債の内、企業債が93%を占めている状況から、収益性と流動資産を高める検討をする。④企業債残高対給水収益比率は浄水施設の設備更新により令和2年度から上昇傾向となっているが、平均値を下回っている状況である。施設改良や更新、人口減少による給水収益減少が見込まれ、管路や施設更新について財政見通しを推計して判断したい。⑤料金回収率は、平均値を上回っているものの、経費節減と適正な料金の原価設定を検討していく。⑥給水原価は類似団体平均並みとなっている。今後も適切な原価計算に基づく料金水準の設定が行えるよう検討していく。⑦施設利用率は、平均値と同程度となっているが、施設設置当時に比べ人口が減少していること、コストカットの側面からも人口規模に適した施設等のダウンサイジングを検討していく必要がある。⑧有収率にあっては2年連続で前年度を下回っており、漏水が要因の一つと考えられるが、今後も減少要因を特定し収益の向上に繋げていく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率共に平均値を大きく上回っており設備の老朽化が進んでいる状況となっているが、管路更新率についても新設や大規模な更新改良を実施できない状況から平均値に比べ低水準にある。長期計画の中で古い施設等の更新が必要であるため、今後、更新計画を策定することとしている。事業の経営状況と施設等の更新の必要性を比較し、将来負担を最小限にとどめるよう施設等の更新を行っていきたい。
全体総括
令和3年度から事業会計を法適化を実施。経営の可視化が進んだものの、中山間地で集落が分散していることから、水道施設も地形的な条件により集落毎に設置せざるを得ない状況に変わりは無い状況である。また、水道使用量の多くを大型宿泊施設が占めており、集客状況により収益が大きく影響を受けることから、収益的収支比率に直接影響が出る状況である。過疎化により人口減少が進んでいるため、単位給水世帯あたりの潜在的な料金単価は高い状況にある。1施設当たりの給水人口が少なく原水の多くを表流水に頼っているため、イニシャルコスト・ランニングコストともに高い。公債費は、老朽化した管路や施設の更新が必要となるため、今後も公債費比率を注視する必要がある。公営企業会計による適切な原価設定による定期的な料金改定を検討し、自主財源の確保を図りつつ、経費削減等により経営改善を行っていく必要がある。