経営の健全性・効率性について
当市の小規模集合排水処理事業は、平成26年度より地方公営企業法適用事業となった。明野処理区、野平南処理区の2処理区となっている。経常収支比率は100を超えているが、これは政策により使用料水準を公共下水道事業と同一水準とし、収支不足を基準外繰入れし補てんしているためである。流動比率は類似団体に比べ低値となっているが、事業を継続していく中で改善していく見込みである。企業債残高対事業規模比率は高値となっているが、経費回収率は類似団体に比べ高値であるため、企業債残高が多くなっていることによると思われる。これは、処理区の人口密度が低さや、地理的要因により管渠延長が長くなり、工事費に伴う企業債が膨らんだこと、また、償還開始から15年程度しか経過しておらず、企業債残高が減ってきていないことが要因である。施設利用率は、類似団体に比べ低値となっているが、区域内の人口減少に伴う有収水量の減もあり処理水量自体が減少していることが要因と考えられる。
老朽化の状況について
管渠は、早いものでも耐用年数がまだ35年弱あるが、平成26年度より施設機能診断を開始し、計画的な更新を行うための準備に取り掛かっている。
全体総括
平成26年度より法適用事業とし、3年目の決算数値であり、様々な指標のトレンドも未だ把握し得ない状況である。下水道事業は、公共インフラとしての位置付けの大きさにより、一般会計からの繰入金が歳入に占める割合が大きい。様々な施設の更新や企業債償還のピークに向け、内部留保資金や利益剰余金を増加していけるよう、水洗化率の上昇、費用の効率化を図り、収支計画に基づいた健全経営を行っていく必要がある。来るべき人口減少を見据え、施設の縮小や統廃合、広域化・共同化も検討していく必要もあると考えられる状況である。