経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以上であるが、2年連続で悪化している。原因は元金償還額の増加と給水収益の減少による。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以下であるが、過去5年で初めて悪化に転じた。原因は給水収益の減少による。⑤料金回収率は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以上であるが、対前年比で大幅に悪化した。原因は給水収益の減少と、元金償還額の増加による費用増加による相乗効果によるもの。⑥給水原価は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以下であるが、対前年比で悪化し過去5年間で最高値となった。原因は、元金償還額の増加による費用増加と有収水量の減少によるもの。⑦施設利用率は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以下であるが、2年連続で増加し過去5年間で最高値となった。原因は、無収水量の増加によるものと推測される。⑧有収率は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以下で、3年連続で減少し過去5年間で最低値となった。原因は、水道管の老朽化に伴う漏水の増加によるものと推測される。また、遠隔監視システムの整備完了による、計測精度の向上も一因と考えられる。
老朽化の状況について
③管路更新率は、類似団体、全国と比較すると、いずれも平均以下で、3年連続で減少し過去5年間で最低値となった。原因は、前年、前々年度に実施した管路工事に係る舗装復旧工事と遠隔監視システム構築に資金を傾注したことによるもの。①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率については、平成29年度に資産調査を完了し、平成30年度に固定資産台帳システムを構築することで、数値の把握が可能となる。
全体総括
今後、段階的に地方債元金償還額が増加し償還のピークを迎える。一方で有収水量は減少傾向が続いておりそれに伴う給水収益の減少により経営状況は一層厳しさを増すことが予想される。組織再編や窓口業務の民間委託等、経費節減に取り組んできたが今後も不断の努力による経営改善が必要である。施設利用率の低さは、市内にリゾート地を有することから、通年の稼働率が低下するという構造的理由に起因するものであり、根本的な解決は困難である。ただし、有収率が向上すると、施設利用率のさらなる低下も考えられることから、管路更新と施設の統廃合をバランスよく進めることで効率が向上する可能性がある。今後は、固定資産データの活用を図り、アセットマネジメントに取り組むなど、資産管理のレベルアップが求められる。また、更新・統廃合等に要する財源の確保が重要な課題である。