経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、令和2年度に増加しているが、これは、企業会計基準委員会が公表した「収益認識に関する会計基準の適用指針」に基づき、収益計上する月を検針月の翌月から当月に改めたため、令和2年度に限り料金収入や給水量が例年と比べ1ヶ月分多く計上され、13ヶ月分となっているためのもの。なお、12ヶ月の経常収益に換算すると102.86%となり、例年と同水準を維持している。・流動比率は、企業債残高が年々減少していること等から、高まっているが、令和2年度は収益認識の変更に伴い、収益が1ヶ月分多く計上されているため数値は更に高くなっている。なお、12ヶ月の経常収益に換算すると43.99%となり、緩やかに上昇している。・企業債残高対事業規模比率は、過去の整備に係る企業債残高が大きいため、単年度収益に対する企業債残高が大きくなっているが、類似団体との比較では企業債残高が低いことを示している。・経費回収率は、使用料が経費を上回っており、処理費用を回収できている。また、類似団体との比較では回収率は高い状況である。・汚水処理原価は、整備がほぼ完了し接続率も高率となっており、経年で平均的である。費用縮減の効果もあり類似団体平均を下回ったものの、一般会計負担金の減少に伴い、処理原価の上昇が見込まれる。・施設利用率は、令和2度に計画処理能力の見直しを行い数値が少なくなったため、処理量は前年と変わらないが利用率は上昇している。
老朽化の状況について
・集落が散在し、小規模な処理区設定となっており、施設(設備)が多数存在している。・有形固定資産減価償却率は、整備がほぼ完了し、区域拡張に係る大きな投資はないため、償却が進んでいくことによる逓増傾向にある。・管渠は、老朽化による更新の時期となっていないが、中越大震災や豪雪地の特性による損傷が一部で見られ、維持管理の中で必要な修繕や更新を実施する必要がある。また、不明水が多くなっており、引き続き箇所の特定とその対応が必要となっている。・管渠改善率は、中越大震災で被災した管渠の復旧のために管渠更新や更正、処理区の接続等へ投資したことにより、その後、改善が必要な管渠が無い状況が続いている。
全体総括
・整備はほぼ完了しており、事業は施設設備の維持管理が主な業務となっている。・事業に要する費用は、使用料収入や一般会計からの繰入金(企業債償還の交付税措置等)等で賄われており、概ね健全な経営状況といえる。水洗化率が100%に近く新たな接続が見込めないため、今後は人口減少や節水志向等の影響を直に受け、使用料収入の減少が見込まれる。また、観光地に所在する処理施設もあり、天候や経済情勢等で入込客数が増減し、使用料収益に影響してくる。・山間地という地域性から処理施設が多数存在していることから、今後、平成28年度に策定した「魚沼市下水道事業経営戦略」の進捗管理や計画見直しを行いながら、処理施設の統廃合等を進めていくとともに、経営の質と効率化を高め、市民サービスの安定的な継続が図られるよう運営するものとする。