経営の健全性・効率性について
桐生市の1か月20㎥当たりの家庭料金(下水道使用料)は2,268円であり、同規模団体に比べ、安価となっています。※参考(集計の関係上、平成26年度データ)同規模団体:1か月20㎥当たり家庭料金3,098円このことが、左図①収益的収支比率、⑤経費回収率について、100%に満たず、改善を要する要因となっています。なお、収益的収支比率については、100%に満たない場合、赤字を意味しており、下水道を利用している方々からの料金収入では、下水道事業の運営は困難な状況となっています。なお、赤字分は税金で補填されています。左図⑥汚水処理原価については、横ばいで推移しております。この要因は、原価計算の基礎となる維持管理費等が毎年変動しておりますが、原価が過度に高くならぬよう、資本費平準化債などの国の制度を活用しているためです。左図⑧水洗化率については、上昇傾向にあります。この要因は、下水道が使えるようになった区域の方々へ、下水道のメリットや浄化槽等から下水道切替時に利用可能な無利子融資制度を案内するなど、下水道利用者の増加に向けた取り組みによるものです。最後に④企業債残高対事業規模比率については、平均値より低い値で推移していますが、これは新里地区の下水道整備は整備途上にあるため、工事費の財源として活用している企業債(借入)の残高も少ないためです。
老朽化の状況について
特定環境保全公共下水道事業は、新里地区の下水道事業を表しているものですが、新里地区の下水道事業開始は平成13年度(15年経過)であり、老朽化は進んでいないため、左図③管渠改善率はゼロとなっています。
全体総括
新里地区の下水道事業は、事業開始から15年と比較的新しいため、下水道普及率も33.6%と低く、普及率を高めていくには、今後も新規整備が必要な状況です。しかしながら、下水道管を整備していくには、多額の工事費が必要となり、同時に工事費の財源として多額の借入を行う必要があります。よって、現状のまま新規整備を行う場合、借入金の返済負担も増大します。一方で返済負担を上回る料金収入の増加が見込まれれば良いのですが、人口密度が低い区域の場合、利用者を十分に確保できず、収入不足が生じ、収支の悪化が懸念されます。以上を踏まえ、今後の整備方針について、検証していきます。また、現状の赤字補填の税金投入を解消するため、料金(下水道使用料)改定を行う予定です。これらのことを総合的に勘案し、下水道サービスを安定的に提供できるよう、長期計画の策定を図っていきます。